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桑田佳祐
『月』

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 アナログレコードが今ブームとのことで、中古レコード屋に行くと結構楽しい。最近は新譜でアナログを出すアーチストも増えてきたものの、数でいえばやはり圧倒的に少ないし、それを買ってすぐに手放す人はさらに少なく、店頭に並ぶのは懐かしのレコードばかり。かつてのレコードには本当のレアものでかなりの高値がついているものもあるが、ほとんどは当時大人気で沢山売られたベストセラーで、1000円以下で売られている。サザンやユーミンに拓郎に陽水、ビートルズなどは状態にもよるが500円程度で買うことができる。発売当時小遣いのなかから2500円出すのが大変で全部そろえるなんてとても出来なかったことを考えると、あれもこれも500円なのか〜と嬉しくなってくる、いや、完全におっさんの老後の趣味みたいになってしまうのだが。  僕がビクターレコードに入社が決まった頃、サザンオールスターズは活動を休止していて桑田さんは初のソロアルバムをリリースした直後だった。人事の人からファーストアルバム『KEISUKE KUWATA』のサンプルLP盤をもらって何度も何度も何度も聴いた。それまではテレビで聴いた程度だったが、レコードを繰り返し聴くことであらためて桑田佳祐の良さを理解した。入社してすぐにすいかというベストCDボックスが発売され、店頭販売の応援に駆り出された。そこで先輩たちがサザンのこの曲が良いあの曲が好きと語っていて、まったく付いていけなかった。ビクター社員なので当たり前なのかもしれないが、世の中にはサザンが好きな人が沢山いるんだなあと思った。限定のボックスはまたたく間に売切れ、もう無いのかというレコード店からの苦情のような電話が営業所でひっきりなしに鳴っていた。もうこれは社会現象なんだなあと思った。宣伝に移って、リリース前の曲をミュージックステーションで2曲披露するということで、テレ朝担当の僕は収録のスタジオに行くと桑田さんがまだ歌詞を完全には覚えていないということで、大きな紙に歌詞を書き、カメラの後ろで脚立に登った僕が両手を上げて持たされた。スタジオロビーで寡黙にされていた姿と、歌い始めてからのテンションの差に、プロフェッショナルだなあと感心した。彼ほどの芸歴があれば関係したスタッフも膨大な数で、僕の桑田体験以上の思い出を持っている人もごろごろしているはずだし、実際にライブに通ってファンとして一緒に生きてきたという人はさらに多いのだろう。まさにザ歴史という感じ。そんな桑田佳祐が来週還暦ということで、特設サイトもオープンした様子。サザンの曲は現在iTunesでも全部売ってるが、桑田佳祐の曲はまだ販売されていない。過去のアルバムも中古以外で買うことは難しい様子。この還暦タイミングでそういったものの販売、再販売もされればいいなと思う次第。
(2016.2.20) (レビュアー:大島栄二)
 


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