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ラブリーサマーちゃん
『私の好きなもの』

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 数秒から数十秒でセルフィーや動画を配信することはもはや、当たり前な所作になって、それが如何に面白かどうか、編集感覚の妙まで敷居が高いかどうか、よりシェアできるかできないか、みたいなところで、自己表象の複製化が始まると、もうベンヤミンどころじゃないようで、あくまで自己は「自己」のプロデュース能力が巧さに依る。知りたいと思えば、どこかの第三者はどんどんディグする。そして、面白ければ、どんどん拡散、共有される。巡り巡ってきた結果の「共感」が何らかの価値をそこに付与して、その発信元の自己があまりに近しく成り過ぎなければいい、と思う。

 この20歳の女の子から出てくる音楽も脱力感とともに、如何にも“今”な温度で、自然体な編集と歌詞の日常感と、程よいポップネスまで「共感」率がとても近心力を持つ。その率を対象化するように、他の曲ではロックンロールへの敬愛に満ちた曲や相対性理論へのジャケットのモティーフにしたジャケットから天真な気骨も見える。昔は世代観に対し、Les Enfants Terribles(おそるべき子供たち)と敬意と畏怖を示しながら、語ったものだが、いや、いい時代になってきたと益々想う。

 過去のロックンロールに沿い、それこそブレイク中の水曜日のカンパネラ辺りから地下アイドルのあいだを進む、病んでいない平熱な感覚はとてもいい。スムースで、クレバーなアーティストだと思う。でも、たまに食べる串カツや生の汲みあげ湯葉、美味しいのは確かで、それは「女子会」の類いで催される明け透けなクルーエルさじゃなく、女の子が持つ無邪気な貪欲さと似てて「個」からの感情表現がうねっていて面白い。
(2016.6.13) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


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