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CRASHBERRY
『サマーサイダー』

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 都内で活動中というガールズバンドのMV。バンドとしてどこを狙っているのだろうか。全員が楽器を演奏していて、バンドであることは間違いないのだが、メンバー構成もビデオの作りも楽曲のテイストもすべてアイドルのパターンを踏襲していて、だからアイドルの市場で勝負しようとしていると思われる。で、素材としてはそんなに悪くない。というか今売れている人たちやグループも飛び抜けている逸材ばかりではなくて、まだ無名だった頃の初期AKBも「なんだ普通のおねえちゃんたちだな」程度だった。その後売れて、洗練されて、魅力アップして大ブレイクなわけだが、個人的にはそういう「このグループに入ったら売れる」的な潮流に乗っている人たちってなんだかなあと思うし、だからこそ彼女たちのように別のスタンスで勝負しようとしている人たちの方により肩入れしたくなる。でも、まだまだ洗練されてないなあという印象が強くて、これではその市場での勝負にはほど遠いなあと思わざるを得ない。洗練といってもそんなに難しいことではない。例えば、このビデオでメンバーの人たちは終始カメラを見ようとしない。ボーカル単独のアップカットでカメラ目線があるだけで、他は全編目を逸らしている。そういう現状をもっとカメラ目線を多くするだけで印象はガラリと変わるだろう。AKBなど第一線のアイドルグループのビデオはこれでもかというくらいに徹底したカメラ目線を投げかけてくる。明らかにカメラが横からのシーンを狙っているというカットでは当然目線は合わないが、そういうシーンでも「客席を見ているんだな」という印象を与える。それはつまりファンへのアピールであり、自分たちをどう魅力的に感じてもらうのかという自問自答の末の結論なのだろう。魅力的に感じてもらうための方程式はそれだけじゃないし、それをすべて実践されると他のアイドルグループと同じになっていって食傷気味になるのかもしれないが、それにしてもそういう方程式を一切無視したようなこのビデオに、呆れるくらいの初々しさを感じてしまう。これはこれで良い。だがそれで良いのは本当に最初の最初だけであろうし、次からはどうすれば魅力的な何かに成れるのかということを徹底的に研究して実践していく必要があるだろう。それはもしかすると彼女たちが考えることではなく、プロデューサー的な立場の人の役割なのかもしれない。
(2016.11.8) (レビュアー:大島栄二)
 


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