w-inds.『We Don't Need To Talk Anymore』 Next Plus Songパノラマメロウ『二本足の唄』

Ana Claudia Lomelino
『Conchinha』

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 昨年に亡くなったプリンスに「Sometimes It Snows In April」という佳曲があり、非常に麗しい。この四月は時おり雪が降ったと思う。その雪で埋もれてしまえばいいほどの。悲しみの予兆やどうにも間違った側に向かいつつ、平穏という状態性を再確認できるほどの難渋な出来事が重なり、きっとこれまでで窮状の中で世界はやはり、ひとつになどなれずに多様性は排除されてゆくのかもしれない。死者を当たり前に観ることができるようになり、現場に居なくても、現場以上の悲しみで胸がいっぱいになってしまうような数々を前にせめて雪が降って一度、赤く染まった地を白く染めてくれないかものか、と願いもする。しかし、黒か白に極化されたままで、黒が正解でも白が正義でもないのが難しい。だからこそ急がずに考える。近く悼み、遠くを想う。

 アナ・クラウヂアの声は包み込まれるように、いつもどこか切なくなる。昔から私的にMPB、ボサノーヴァ系のフィメール歌手の声はポルトガル語や詩の行間以上の意味を越えて響くものがあって、エリス・レジーナ、ガル・コスタ、マリーザ・モンチ、アドリアーナ・カリカニョットなど時おり無性に立ち返りたくなることがある。そこには芯の強さと大らかな海の波のような悠遠さがあって、彼女もTONOのバンドでボーカルをしていたときからよく聴いていたが、デビュー・ソロ・アルバムは本当に愛聴し、このMVも何度も観た。サイケデリックな色彩のなかで彼女がゆらゆらと舞い、歌う。また、小さな電子音の粒が跳ね、パーカッションが入り込んでくる、すこしエクスペリメンタルな音像の2分30秒。シリアスで饒舌な表現でこそ反映し切り取れない峻厳なほどの現実があっても、こういう在り様でこそ感じられるかけがえのない平穏もある。平穏という状態がもう幻想として無化していくのだとしても、音楽はいつも誰かのそばに。
(2017.5.8) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


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