Grizzly Bear『Neighbors』 Next Plus Songblue but white『miss you』

ecke
『ACCESS』

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 この気怠いミュージックが、夏の名残を懐かしむこの時期にとてもフィットする。サウンドのテイストはシティポップのそれなのだが、そのテイストを蹴散らす勢いの存在感で迫ってくるのがNao Moriのボーカルだ。この鼻にかかるような独特の歌声を聴いていると、僕は古いアルバムを思い出す。いしだあゆみとティンパン・アレイによる『アワー・コネクション』がそれだ。もう40年ほど前のアルバムで、当時はまだ演歌にほど近い歌謡曲を歌っていたいしだあゆみが細野晴臣らのティンパン・アレイのサウンドに載って歌うその歌声は、今聴いてもまったく古さを感じさせないポップな仕上がり。ティンパン・アレイとユーミンという組合せでは両者の音楽性に共通点が多いためよく判らなかったが、違う世界の音楽ともいえるいしだあゆみとティンパン・アレイが組むことによって、結果生まれた音楽はそれ自身完璧なオリジナリティを示していたものの、逆に両者の本来の個性を際立たせていた。特に、優れたボーカリストはどんなサウンドにも見事にフィットするものだなと思ったものだ。前フリが長くなってしまったが、このecke。ちょっとだけ鼻にかかるような、こぶしが回りそうなNao Moriの歌がシティポップ風なサウンドと実にマッチして、少しだけ涼しくなっていくこの時期の、どことなく寂しげな空気のようなものを見事に現していると思う。個人的にはハイハットの音が妙に強めにミックスされていて、それが少しばかりバランスとしてどうなんだろうという気がしないではない部分もあるのだが、それを含めても全体として秀逸なトラックだなと感心する。
(2017.9.7) (レビュアー:大島栄二)
 


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