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忘れてモーテルズ
『馬鹿野郎はお前のほうだ』

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 シンプルの極みというべきサウンドに楽曲。一種アナクロな感じだと受け取る人もいるだろうし、多分その感情は間違っていない。表現は常に進化するもので、音楽もその例に漏れず。今やジャンルはどんどん細分化し、これまでにない表現を求めるが故にどんどん専門的な何かになっていき、結果としてマニアにしかその良さがわからないというような音楽が市場には溢れている。だが、新しいだけが価値なのではなくて、60年代の音楽が今でも愛されるように、ぎこちない動きの初期ディズニーアニメがやはり感動を持ち続けているように、シンプルでアナクロな音楽にも、最先端でマニアックなサウンドが置き忘れてきたような感動を持ち得る。何十年も前の、当時は最先端だった懐メロを聴くのと、こうした現役のバンドが敢えてこのサウンドを鳴らしていると言うのは音を聴くのはまったく違ったことで、今、どんな音楽から聴けばいいのか判らずにいる音楽初心者は、案外こういうバンドから聴き始めるのもひとつの方法なんじゃないかなあと思う。
 忘れてモーテルズのことは何年も前から知っていて、musiplでも取り上げたいと思ったこともあったけれどもビデオがなんかイマイチでずっと見送っていたものの、うん、これはイイ。ライブハウスでのライブシーンではないけれども、ライブハウスというものの雰囲気をとてもよく伝えている。見慣れた外見と見慣れた地下への階段と、見慣れたホールの様子。そうだ、これは新宿JAMだ。老朽化したビルの取り壊しにより2017年いっぱいで営業を終えることになっている。なんか残念だけど、ビルの取り壊しなら仕方ない。そんな風に新宿JAMというライブハウスのことを懐かしがったりするのはある意味マニアであって、レビュー冒頭で「音楽初心者はこういうバンドから聴き始めるのも」なんてことを書いたが、このMVには初心者の楽しみ方とはまったく別の感慨もあって、その両面性が面白いなあという気になる。
(2017.12.4) (レビュアー:大島栄二)
 


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