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ARB
『乾いた花』

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 ARBのライブを最初に実際に見たのは後楽園ホール、ボクシングの聖地でステージはリングだった。その後何度か観て、最後に観たのは解散した代々木体育館大ホール。なんだろう、違和感をずっと持っていた。バンドは活動して知名度が上がり、当然のように活動の幅は広がりステージは大きく広くなっていく。だがそれが彼らにとって理想の展開だったのかはよくわからない。ARBの歌は徹底して働く者、普通の人たちの悲哀にスタンスを置いた、彼らなりの共感だった。売れて大きなステージに移行した石橋凌が当初の感覚を持ち続けることが本当に出来ただろうか。ARBを見ていたファンたちが大きくなるステージに納得していたのか。大きくなる過程で当初からのファンというのは少数派になっていくものだから、そんなこだわりや違和感も少数派になってしまうのは当然なのだろうが。
 これは小滝橋通りにあった頃の新宿ロフトでのライブ。ステージの白黒パターンですぐに判る。老舗の知名度とは裏腹に狭くて使い勝手の悪いライブハウスで、でもだからこそそこにロックの神髄のようなものが染み込んでいる場所だった。ステージに押し寄せるような観客と揉みあうようなライブ。石橋凌が本当に活き活きとしている。アーチストとリスナーの関係はこうでなければと再確認する。昨今はフェスの大きなステージで大観衆を前にライブをやりながらも、単独のライブでは狭い会場がガラガラだというのが多いらしい。もったいない。アーチストによってはライブハウスでのライブは無いかもしれないが、出来るだけ小さな会場のライブに行った方が楽しいし、等身大のアーチストの姿を見ることができるよ。
 あ、ARBが大きくなっていったと書いたけれども、実際には全アルバムが揃えられているレコード屋などほとんど無い程度だったので、大人数のファンの支持を得ていたとは言いがたい。ただ、彼らのファンは非常に熱狂的で、当時の中でもカリスマ的な人気を誇っていた希有なバンドだった。そのことは確認しておくべきだろう。
(2017.12.16) (レビュアー:大島栄二)
 


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