Nick Moon『End/Gone』 Next Plus Songcinnamons『a.m.e』

RAMMELLS
『Sensor』

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 物憂げという言葉がよく似合う。何だろうこの物憂げ感はと思って何度も聴いて聴き返して、ああ、このボーカルがサウンドの中でしっかりとしたポジションで存在しているのに声を張っているわけではなくて、つぶやきのような歌い方だからなのではないかなあという結論に至る。レコーディングの際にはそんなに大きな声量で歌ってはいないのをミックスの時にボリュームを上げる、音圧を上げる、そんな作業でささやきのようなつぶやきのような歌声を引き上げる。仮にその想像が当たっているのであれば、このバンドの他の曲も同じような物憂げ感を持っているということになる。それで他の曲も聴いてみる。うん、物憂げだ。でも他の曲も同じ物憂げ感なのかというとそれも違う。そして聴いているうちにささやいた歌を後技術で大きくしているようなモノではないなこりゃという結論に至る。張って歌える人だこの人は。張って歌えば簡単なのだろうに、敢えて張り切ることなく一歩手前の声量で止めている。寸止めで歌っている。寸止め歌唱だ。いや、そんな言葉はないんだろうけれど。サウンドもユニークで、ギターよりもベースが目立っている。ギターもカッコいいのだ。それを前面に押し出して我々はギターロックバンドだなんて言えば今の主流的なジャンルのバンドのいっちょ上がりなのだろうが、そんなことはやらない。そういうのはカッコ悪いと思っているのだろう。だから技術で音を無理に作るみたいなこともきっとやっていないと想像する。普通の人が世の中の出来事に一喜一憂することを一歩退いて冷めた目で突き放す。そう騒いでどうするよという冷めた目で。その姿勢の是非はともかく、自分たちは自分たちの好きなことを淡々と積み重ねて行くというようなクールさが曲の中に満ちている。狂騒からは距離を置こうというような、都会的な立ち位置への意志を感じさせる音楽だ。
(2018.8.9) (レビュアー:大島栄二)
 


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