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突然少年
『火ヲ灯ス』

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 海パン野郎が集まって楽器を鳴らしてるMV。もうね、おっさんはスイマーズ復活かと思いましたよ。えっ、スイマーズ知らない?平成になる前のムーブメントですからね、知らなくて当然ですよね、海パンに水中メガネとスイミングキャップでロックする連中…。一応同級生でしたから知ってるだけで、普通はもう誰も覚えてないですよね…。
 そんなムダ知識はさておき、4人が延々と楽器鳴らしてて、待つこと1分半オーバー。もうインストバンドだと思い込んでましたよ。イントロって待てるのせいぜい30秒程度でしょう? 1分半もイントロやるなんて無謀ですよ。普通は飛ばしますよ、別の動画に。何だよ歌わねえのかよって。でも今回は何故だか待てました。待てましたというよりも、ずっと聴いていました。ギターのカッティングなのか、弦を叩くみたいな音がすごくて、緊張感があって。途中でメロディがガラリと変わって。そう、これはイントロではないんだろうと思います。イントロじゃなくて、これも音楽。こんなこというと、いやいやイントロも音楽だろうって叱られそうですけど、なんというか、多くのミュージシャンには音楽の型みたいなものがあって、その既存の型に無意識に従ってて、だから歌の前にはイントロという楽器演奏だけのパートを組み込まなきゃいけないみたいな、創造性とは真逆の、パターニズム。それは工場のラインに入って、流れてくる部品に別の部品を載せてネジ止めしてみたいな、機械だってやれるような作業で、曲を作ると。そんなことをやってるバンドというかミュージシャンは本当に多い。いろんな音楽を研究してないからコードの種類もほんのちょっとで、弾けるフレーズもほんの僅かで。少ない引出しの中からいくら引っ張ってきても、そりゃあマンネリな曲しか生まれませんよね。その上にパターンに従って作ってたら。多くの曲のイントロは、きっとそういう感じで作られていると思うのです。仕方なく作られているイントロ。だからリスナーが聴く時も仕方なく聴かされている。そういうイントロは、やはりせいぜい30秒くらいしか我慢できないものなんだろうと思うわけです。
 でも、この突然少年の1分半のイントロ。便宜上今ここではイントロと呼びましたが、これはもうね、イントロではないですね。歌ってないけど、歌。そんな言い方もオカシイな。とにかく、我慢して待つ対象ではない。歌が始まってからの展開はほとんど同じことの繰り返し。歌詞がね。火ヲ灯スしか言ってない。いや他のこともチョロチョロ歌ってるけど、基本的には火ヲ灯スしか歌ってない。このシンプルなメッセージを伝えるためには、あのイントロ風の演奏で緊張感を最大限に高めていく必要があったんでしょうし、実際にそれは成功してて。素晴らしいと思います。限界なんて後で気付く勢いで、頑張ってもらいたいです。令和のスイマーズとして大成して欲しいと思います。えっ、スイマーズはもうどうだっていいって? そりゃそうですね。失礼しました。
(2019.6.24) (レビュアー:大島栄二)
 


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