CAETANO VELOSO『Os Passistas』【しなやかな反骨精神と優しい獰猛な知性、その二律背反性を色彩豊かに翔る】
今夏はリオ五輪で盛り上がったが、その波を受けてか、ブラジルの伝説的たる歌手、カエターノ・ヴェローゾが11年振りに来日し、観に行った。(注:正式には単独来日という訳ではなく、フィメール・サンバ歌手のテレーザ・クリスチーナの連名でのもの) ...
ヤバイTシャツ屋さん『あつまれ!パーティーピーポー』【盛上がり系ロックのひとつの完成系】
元気だな。元気なのはそれだけで良いな。こういう中身無さそうだけど元気だけは120%あって盛上がりは完全保証でライブ会場を盛り上げに盛り上げる、という音楽はヒップホップ界隈には結構あるけれども、ロックバンド界隈には意外と無くて、そういう ...
ENTHRALLS『きょうはうまく眠れない』【古傷をえぐるような、他に代わりのないボーカル】
ENTHRALLSは気になるバンドだ。ボーカルの井上佳子は髪の毛が金髪の時もあれば黒い時もあり、長い時も短い時もある。女性ボーカルにとって髪型はイメージを司る重要な要素で、これを変え過ぎることはイメージが定着しないというマイナスに容易 ...
My Hair is Bad『優しさの行方』【心の鍵はあけておこう、いい予感が訪れる可能性はあるから】
天変地異と政情変化の大きなうねりの中で翻弄されるのは止むを得ないにしても、世界中で個々のこれからの生活への不安を殺伐とした何かに変換するより例えば、ビットコインが生み出す可能性や掘り起こされる新たな小さな町に目を向けてもいいような気が ...
HONEBONE『満月こわい』【語りかける様に調子を変えながらも一貫した音頭の様なリズム】
嫌なのに気になってしょうがない小さな問題がある時って、それを考えてる時間ホント無駄だよね。嫌なヤツ、揉め事、今日の失敗、それ自体を思ってる状況がイヤ!だったら、デカイものを対象に憤った方が心が上向かない?「青い空なんかキライだ!」「夕 ...
Alex Cameron『She’s Mine』【あやしく異様な雰囲気で癖になるリズムと音がたまらない】
ざわっ。PVを見ていると、内なるざわつきが抑えられない。なんなんだ、これは。彼はなぜ車の前で踊っているのか。とにかくぞわぞわと疑問符がとまらない。このPVを発見した夜、私は興奮して眠れなかった。繰り返し曲を聴きながら、男の動きを見つめ ...
Tempalay『LOVE MY CAR』【脱力できる環境で、チープなスピーカーを鳴らして聴きたい】
なんだろうこののんびりムードは。必死さがカケラも感じられない。だからとても良い。常々、日本の音楽は必死すぎるよなと感じていて、ただのポップでありつつも見ててホントに必死。その必死さが感動を呼ぶというのも否定しないし、むしろ感動話を集め ...
MARQUEE BEACH CLUB『eye』【煽る熱と、冷す淡々のギャップが面白い】
このいきなりサビみたいなギアMAX。でもサビじゃない。というかもはやサビとかいう概念はあまり関係ないような気がする。冷静になって聴けば全楽器がリズム隊となってファンクなビートを奏でていて、それに全体が引っ張られるというか、うねりを作っ ...
柴咲コウ『かたちあるもの』【どちらも本業の二刀流】
2004年にこの曲をドラマのエンディングで聴いて、イイなと思った。柴咲コウには女優という印象しか無かったし今もそうなんだけれども、こうしてあらためて聴いても、歌が上手い。女優にとって歌も演技も表現のひとつということなのだろうか。彼女を ...
Softly『あなたのことを想って指先でなぞる文字は』【10代は10代による今の音楽が出てくることで活性化するので】
あざといなあ。このささやくようなつぶやくような歌い方。それに、メロディラインが普通の人の心にある切なさの部分にダイレクトに届くような作りになっていて、巧みだなあと思う。サビのメロディとアレンジは綾瀬はるかが主演した旧いドラマ「世界の中 ...