寺尾紗穂『楕円の夢』【明るい道と暗い道 同じひとつの道だった】
2016年ももうすぐ終わります。あなたにとってどんな1年だったでしょうか。 僕にとっての2016年、いろいろありましたが、思うようにはいかないものだなというのが正直な感想でしょうか。人の一生なんて簡単に説明なんかつかないもので、自分 ...
エレファントカシマシ『RAINBOW』【やはり孤高で、昔からの変わらなさ、無骨さが魅力なのかもしれないバンド】
明日なんていう日は決めるのはそう
いつだって今日でも
また国家予算内で死ぬの
(「負け犬」、syrup16g)
しかし今や、国家予算内で死ねるのだろうか。12月22日に、平成2 ...
urema『笑う』【その歌詞を書いている時の作者はどんな様子だろうと想像する】
その歌詞を書いている時の作者はどんな様子だろうと想像することがある。何故それを、何故その歌詞を。そしてどんな表情でどんな想いを託そうとしているのか。この曲はまさにそんなことを想像させる。聴けば聴くほど心がザワザワする。今の日本で、こん ...
Moby & The Void Pacific Choir『Are You Lost In The World Like Me』【アルバム全体が、衝動的というか、もはやパンク】
モービーが怒っている。新作発売前からそんな噂は聞こえてはいたのだけれど、本当だった。この曲は最初からアッパーで攻撃的だ。快適で多幸感あふれる曲のイメージが強い、モービーらしくない。どうやら(簡潔に言うと)現代社会に対する怒り、を表して ...
sonobe nobukazu『きみもさよなら』【きっとまた逢えるさと声をかけるというおまじない】
さよならと人を送り出すとき、きっとまた逢えるさと声をかける。それは願望でもあり、希望でもあり、同時に呪いなのだろう。呪いというとおどろおどろしい印象があるが、だったら呪文、いやおまじないと言い換えれば良いのだろうか。おまじないは迷信に ...
アマアシ『連鎖』【速いサウンドの流れと、それを断ち切る裏拍との対比】
ギターのリフが速くて心地良くて、ベースがブイブイ鳴ってて、イントロからもうたたみかけるような印象のサウンド。これこそバンドサウンドだよなあという意見が多いのはよくわかる。そのたたみかける音の流れを歌メロがひとつひとつ断ち切るようにワン ...
YeYe『He Doesn’t Have Christmas』【すべての人に幸せな何かが訪れますように】
クリスマスって淋しいイメージしか持ったことがない。楽しげなイベントというイメージが一般的なのかもしれないが、どうしてもそう思えない。友だちや家族と集まって、豪華な料理を食べ、ケーキを分け合い、プレゼントを交換する。生まれてからずっとそ ...
ぼくのりりっくのぼうよみ『after that』【これからを生きるための人たちが乗ることができる舟を】
ハロウィーン効果がバレンタインを上回ったとか恵方巻が全国に浸透しているとか、昔とハレの場が減った分だけ、公的に、商業的にそれを設定していると捉えるか、遊び場は実はどこにでもあって、その愉しむ導線が増えたと捉えるか、とは野暮だと想ってい ...
D.W.ニコルズ『奈良ならいいよ』【緩急組み合わせたバンドの幅広さがイイね】
奈良ならいいよって、結局それって語呂合わせというか、歌った時のこのサビのフレーズが楽しげであるという、そこだけで作ったでしょうこの歌は。そう思うのが正しいのか間違いなのかはアーチストに聞いてみなければわからないけれども、たとえそういう ...
samuraiguitarist『Super Mario World Soundtrack』【プレイ中に背後で生演奏してもらっているような、不思議な感覚になる】
いわゆる「ユーチューバー」を扱うのは初めてかもしれない。レビューの趣旨から少し外れるかもしれないが、誰かに紹介したくなるようなすごい動画なのだ。スーパーマリオワールドの音楽はもちろん、あらゆる効果音(コインの音まで!)も含め、「完璧に ...