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およそ3『What A Wonderful Life』【新しい形の、強い強い強いメッセージソング】

メッセージソングなんてもう古いと思っていた。でも、それは間違っていた。絶えず向上しようという拡大思考が現代の限界に直面すれば、前進を止めて現状に留まるスローライフこそ肯定されて、そこに前向きなメッセージなど要らないのだと思っていた。でも、それは間違っていた。生きるということはそれそのものが前進であって、現状がどうあろうと、前に進むということは善であり、勇気である。そのことを、こんなハッピーな曲に教えられた想いがする。僕の頃のメッセージソングと言えば渡辺美里のMy Revolutionが代表的で、それを僕は大学で上京し、スキーツアーに向かう深夜バスの暗い中、カセットのウォークマンで何度も聴いていた。当時は経済がバブル直前で大人の目には明るい未来しか無かっただろうが、若者の僕にはやはり不安が大きな口を開けてそこかしこで待ち受けていた。メッセージソングはいつの時代もそういう不安な背中を後押しする原動力であり、それは今の時代もなんら変わらないのかもしれない。およそ3という風変わりな名前の3人が発する言葉の数々は、最近あまり聞くことのないような、現実肯定と前進への等身大の意志。現代のメッセージソングとはこの現実肯定がベースに不可欠なのだろう、と思う。ボーカルのあーこさんが口をこれでもかと開きながら紡ぎ出す「きっと誰も不安なんだ だからボクが今 誰よりも差し出すよ その勇気で世界は変わる」という歌詞がとても印象的。地球という意味での世界は、きっと変わりやしないのだ。しかし、自分の眼が映し出す世界はきっと変わる。勇気とは自分の周囲半径500mほどを変えてくれる魔法なのだ。それを差し出すことができる歌がメッセージソングなのであり、差し出せる人がカリスマということなのだろう。そういう歌で誰もがちょっとずつの勇気を勝ち取れば、みんなの周囲500mはやがて全世界に広がるのだろうし、その結果、地球という世界はちょっとだけ変わるのかもしれない。そんな誤解の妄想をちょっとだけリアルに想った。彼らの新作では彼らのバンドとしての現状認識が披露されていてとても面白い。そのシビアな現状認識の上にやはり勇気の出そうな前向き哲学が披露されていてこちらもやっぱり勇気出る。まあそんなことは一切抜きにしても、ポップなアレンジとサウンドに明るく爽やかでいながらもパンチのあるボーカルを聴いているだけで幸せになれる、傑出した才能だと思う。

(2015.5.1) (レビュアー:大島栄二)


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review, およそ3, 大島栄二

Posted by musipl