<!-- グーグルアナリスティック用のタグ -->

HOWL BE QUIET『A.I.』【旧い静かなバラードと、最近のアップテンポな楽曲を比較して】

静かなバラード。こういう声はバラードで何かを炸裂させる力を持っているのだと思う。バンドがライブを行なう時にずっと盛上がる曲ばかりというのも味気ないし、かといって全曲バラードではエネルギーが不完全燃焼になってしまって観客にモヤモヤとしたものが残ってしまう。適度に盛り上げ適度に息をついてもらって、決めるべきところではバラードで心をギュッと鷲掴みにする、黄金の(というかド定番の)セットリスト構成というものがあって、それをやるためにはバラードもノリのいい曲も十分にできるということが大前提になるのだが、HOWL BE QUIETはそのうちバラードの実力は十二分に持っていると断言できる。2016年春にメジャーデビューするのだが、その頃からアップされている動画ではアップテンポの楽曲がいくつか。メジャーの宣伝体制もあり再生回数はググンと増えていて、昔の曲より見ている聴いている人は圧倒的に増えたのだろうと思われる。冷静に見てノリのいい曲に他のバンドと決定的に違う個性が突き抜けているとは感じられないし、動画のコメントにも昔を懐かしむ系のものがチラホラ見られる。そう感じている旧くからのファンも少なからずいるのだろう。そういうのはとても難しいところで、どんなバンドでも長年見続けているファンは変化を嫌う傾向がある。だが変わっていかなければ腐っていくだけであり、バンドが鮮度を保ち続けるためにはそういう「変わらないで」の声に縛られていてはいけない。それにいくつかの曲が動画に上がっていたとして、それを全部聴いたところでそれがバンドのすべてではない。無料で聴いただけで判断した何かと、アルバム全曲を聴いて判断した何か、ライブまで見て判断した何かはまったく違うもので、無料動画だけですべてをわかった気になるのは愚の骨頂でしかない。とはいえ最初の入口が無料動画になってくるのは当たり前のことだし、配信も当たり前の時代にはアルバムを全曲聴くということ自体が文化としてマイナーでしかなかったりもする。バンド側はそういう環境を前提とした上で何かを入口として提供し、その中で最初の判断を、将来のファン予備軍はするしかないというのも事実。半年ほど前にメジャーデビューしたばかりの彼らとスタッフが、考えに考えて出して来ている最近の楽曲と、何年か残っているデビュー前の曲をひと通り聴きつつバンドの実力を見定めて、もっと聴き込もうと思うかそれとも無料のところまででいいやと思うかも、現代の音楽とのつき合い方なのだろう。さて、あなたはこのちょっと前のバラードを聴いて、どう思うのだろうか。

(2016.8.15) (レビュアー:大島栄二)


ARTIST INFOMATION →


review, 大島栄二

Posted by musipl