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Taylor Swift『cardigan』【この期間の彼女の心の中がそのまま反映した結果】

YouTubeの広告としてテイラー・スウィフトの新曲が突然流れ始めて、なんだと思って観てみたら、予告していなかったアルバムを急遽発売したのだとか。大スターの彼女も感染症の前には特別ではいられず、多くの人たちと同様に家に引きこもることに。当たり前のように春から夏へとぎっしり詰まっていたツアーがすべてキャンセルとなり、多忙だった彼女に膨大な時間が訪れる。それを創作活動に充てた。その結果、昨今のアーチストとしては異例の間隔で、前作から1年もしないうちにアルバム『folklore』がリリースされることになったらしい。

このところはずっとポップスターとしてのイメージが強い、そんな作品をリリースしてきた彼女だが、この曲を含む新作『folklore』にはアップテンポな曲が1曲もない。どこから先のビートがアップテンポなのかという定義はないけれど、このアルバムの曲だけのライブを行なったら、客はどこで立ち上がって盛上がればいいのかきっとわからないだろう。シートに座って、ただ静かに彼女の曲を聴く。ソーシャルディスタンスな時代のライブにはピッタリの構成になるだろうとは思うが、別にそういうライブ構成を考えて曲を作ったのではないだろう。ライブが再開されアリーナ級の会場に人々が集まる時は、おおっぴらにマスクを外して隣の人と肩触れあう距離で汗を撒き散らしても良くなった後だ。静かなライブを強いられることはない。しかしこういう落ち着いてしっとりした曲ばかりが作られたというのは、きっとこの期間の彼女の心の中がそのまま反映した結果というしかない。

この曲の中の「A friend to all is a friend to none」という歌詞が突き刺さる。この曲自体はもう戻ることのない初恋の相手への断ち切れぬ想いを描いているのだが、その中でこの部分だけがちょっと浮いているように感じる。そして、ここと次のライン「Chase two girls, lose the one」こそが、ストーリーの描写とは違った、この曲のテーマなのだろう。

(2020.9.16) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl