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AMARI『リアリティ』【全体をポジティブマインドな歌に転生させることに成功している】

好き♬。このハッチャケぶりがステキ。歌唱力があるというわけでもないし、曲の全編を通じて、もっと声出ないかなあというフラストレーションが溜まりそうになる。でも、溜まらないのだ。この地声でとりあえず歌ってるよって感じが、ベテランの人とかトレーニングを積んだ人からすれば、「ケッ」って感じに映るかもしれない、とは思う。でも、この全編を通じて、いやその全編という枠をはみ出すかのようにほとばしるエネルギー。歌詞の内容はというと、終始愚痴。幸せを約束したはずの男との別れ話。なのだろうか。別れ話というのはもう終わったあとの、言ったって仕方ないタイミングでの愚痴。こういうのを友人から聞かされたりしたらきっとブルーになる。ブルーになるどころじゃなく、1日を台無しにさせられた気分になる。それが、歌になる。AMARIという人が歌う。はっちゃける。エネルギッシュ。なんか良い。本当にイイ。元気出る。この声を張らないタイプの歌唱が、このどうしようもないドロドロの愚痴をライトなものにしてくれている。とても軽い。そう、愚痴は軽くぶちまけてほしい。AMARIのように時には笑顔も見せながら、時に(1分ちょうどくらいから)リズムを変えて目先を変えて、「ダメ女かしらったったった」と深刻さを語尾でごまかし、「サンデーモーニング」というパワフルポジティブワードを適宜入れることで、全体をポジティブマインドな歌に転生させることに成功している。うん、すごい。これ好きだ。

この動画ではバンドを引き連れてロックシンガーのように歌っているけれど、他の動画を見ると、ギター1本弾き語りで歌ったりもしている。おそらく、普段は弾き語りシンガーなのだろう。歌詞もかなりダークなものが中心だ。だからこの曲はAMARIにとってはいろいろな意味で例外的な作品なのかもしれない。弾き語りに慣れているファンからすれば、「なんかいつもと違う(から好きじゃない)とか言いたいかもしれないだろうが、もしそんな声が聞こえてきたとしても、本人がやりたいようにやればいいのだし、だからもちろん、弾き語りでドロドロの歌を歌うという道を選んで突き進んでいくのもまたいいのだろう。どちらにしても、開き直って徹底すれば、その表現方法の中でズンズンと突き進んでいける人なんじゃないかなあと思ったりもする。

(2020.9.22) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl