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Dear Chambers『ワンラスト・ラヴァー』【ちょっとモヤモヤな内容をスキッとカラッと聴かせてくれるバンドの力量】

スッキリとした音だ。イントロというか曲頭をドラムのフレーズから始まるわけだが、ひとつひとつの音の抜けがイイ。そのドラムに重なって入ってくるギターもベースもひとつひとつが驚くほどクッキリとしてて心地いい。3ピースで余計な音を重ねまくってたりもしてないし、だから音がそれぞれクッキリとしてるのは当たり前だろうという反論もあるかもしれないが、実際にレコーディングしてミックスしてという作業の中でこんなにクッキリとした音に仕上がることはそう多くない。ひとつにはエンジニアの腕という要素もあるのだが、こんなにクッキリとさせるんだというメンバー自身の勇気というか覚悟というか、そういうものがなければこんな音に仕上がることはない。バンドの音というものをどう考えているのかというものが根底にあるわけで、この曲がどういう音の重なりで作り上げられるべきなのかということを明確にイメージできていなければ、いくつものエフェクターを掛けまくることでぼんやりとした音の塊として仕上げることになってしまう。同時に、ひとつひとつの音がクッキリと鳴ることによって、プレイヤーの技量がハッキリと現れるのであって、ちょっとでも腕に自信が無ければ、やはり混沌とした鳴りにしたくなる。だから、理想の音を鳴らす技術への自信と、どういう音を創り上げるのかというイメージの明確さが、こうしたクッキリとしたサウンド作りには欠かせないのである。

そのクッキリハッキリのサウンドに載るボーカルも、高音域から低音域にまで不足なく声が出ていて、すべての音域でキレがある。聴きやすいはずだ。歌詞の内容は結構未練たっぷりだし、別れの理由は曖昧でとか歌っているのだけれど、そういうちょっとモヤモヤしそうな内容の歌であってもスキッと心地良く聴かせてくれるのは、彼らがバンドとしての力量を十二分に持っていて、遺憾なく発揮しているからなのだろう。

(2020.9.29) (レビュアー:大島栄二)


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Dear Chambers, review, 大島栄二

Posted by musipl