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木下優真『おやすみヒーロー』【起承転結というか、メロディにストーリーがある】

もうね、映像がズルい。子どもが寝てる写真のスライドショーで、こんなんみたら可愛いってなるやんか。あかちゃん動物特集とかいうテレビ番組は時々やってて、時々やってるということは大人気なんだろうけど、人間の子どもが寝てる写真ってあかちゃん動物とは較べものにならない。これは子育て経験があるかどうかで違うんだろうし、経験があろうとなかろうと人によって様々ではあるだろうけれど、僕にとってはズルい範疇に入る、無条件にガードが下がる映像だ。

0歳児が可愛いのは多くの人にも同意してもらえることだろうけれど、では1歳児はどうなんだ。2歳児は? 5歳児は? 10歳では? 35歳の寝てる姿ってどうなんだろうか。55歳ならどうだ? もしどこかより上の年齢で「もう可愛くない」と答える人には、きっと寝姿が可愛くなくなるラインというのがあるのだろう。うちの子が0歳から1歳になる時、妻は「もう0歳の○○ちゃんはいなくなるんだ」と寂しそうに言ったものだが、1歳になっても5歳になっても、8歳になった今も相変わらず可愛いらしい。というか、8歳児には8歳児の可愛さがあって、それは0歳児の可愛さとはまた別の種類のものらしい。だから8歳児が9歳になろうと10歳になろうと、きっとまだ知らない可愛さを見ることができるのではと前向きな気分になれるらしい。うん、その考えに100%同意しますよ。

そんなズルい映像のこのMV。映像がもの凄く魅力にあふれている場合、楽曲がそれに負けてしまうということはよくある。しかし、この曲の素晴らしいこと。起承転結というか、メロディにストーリーがある。歌詞にではなく、メロディにストーリーを感じるのだ。もちろん歌詞もいい。だがこの歌詞を凡庸なメロディに載せてしまったら、きっと陳腐で胡散臭い感情しか湧かないだろう。そう感じさせずに、ほんとうに子どもたちがヒーローで、眠れよとかける言葉が心底リアルな感情から生まれているんだと思わせてくれるのは、この起伏に富んだメロディのおかげなのだ。

(2020.10.9) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl