<!-- グーグルアナリスティック用のタグ -->

METAFIVE『環境と心理』【わかりやすいことは是でもなく、曖昧に、心理は揺り動かされる】

例えば、ソーシャルディスタンスと名所旧跡への冥旅。オーウェル『1984』化が極まる瀬にてのディストピアと牧歌性。相入れないようで、近場のホテルや旅館に泊まる行為も増えて、生活様式が新しくなるとかではなく、マスクやワクチンといった記号論ではないままに、黙っている間に閉鎖し、終わる慣習と、切り替わる儀式に敏感になった方がいいと思う。それなりにやり過ごせてきたことが、やりきるにはそれなりではどうにもならないというパノプティコン性を帯び、それはウイルスだけの問題でもない。

意識変性の下で誰しも厳格に、また、野放図になっている。ロックダウン、夜間外出禁止、限られた行動範囲、迷妄の世界情勢、コップを置いてみて、紅茶が注がれて「いた」過去を座椅子で空洞で飲み干して、ないことがある時代に象徴化するアウラを想う。大多数の民意という建前たる圧と、孤たる信念の駆け引き。神の見えざる手で攪拌された市場で、今求めるべき価値観とは、レミニッセンスのよう、忘却曲線で減価償却される。多くのレジェンドが亡くなったこの2020年。

加速度的に消費される文化、娯楽。そんな中、エッジを保っていたMETAFIVEの新曲が小山田圭吾主導なのもあったのか、ミドルテンポの切ない情感と無機性を帯びているのは意趣深い。高橋幸宏、小山田圭吾、砂原良徳、TEI TOWA、ゴンドウトモヒコ、LEO今井からなるグループで、まさかの再始動とその切っ先がこれだとは。

無駄のない構築された音響工作と残響、ボーカルの移り変わり、環境音楽×ミニマルファンクの中で跳ねる削がれた言の葉。沸点を求める浅はかなカタルシスより淡々とホーンが重ねられていったり、サンプリングが入ったりとムーディーに、しかし、どこか今の時代風景を反射してブルーなフィールングが前傾する。5分ほどの曲、MVを見終えたあと、なぜか少しばかり姿勢がただされるような気になる。いつも、オンかオフかではなく、わかりやすいことは是でもなく、曖昧に、心理は揺り動かされる。こういう彼らもいいと思う。

なんとなく 気分がちょっとだけ晴れてく 環境と心理『環境と心理』

そう、なんとなく、良くなってゆく。逆も然り。明けないままに次の未来は来ない。疑心暗鬼の集態と正義的に盲目になる前に、環境のさんざめく変化と、騒がしい世界中の心理に静かに耳をひそめて、冷静に構える必要性を今こそ鑑みる。

(2020.10.24) (レビュアー:松浦 達)


ARTIST INFOMATION →


METAFIVE, review, 松浦達

Posted by musipl