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LUCKY TAPES『ランドリー』【無機質に回転し続けながらも、良い方向に向かっているのだという希望】

コインランドリー動画というカテゴリーはあると思う。musiplでもいくつかコインランドリーで撮影されたMVを紹介している(Response『magic music』マカロニえんぴつ『洗濯機と君とラヂオ』初恋の嵐『真夏の夜の事』等、他にもあるかもです)。最近ではUber EatsのCMもコインランドリーで撮影されてて、そのカテゴリーにまさかLUCKY TAPES がエントリーしてくるとは思わなかった。

コインランドリーには絵的な近未来感があると勝手に思っている。丸いドア(フタ?)が並んでいるのはとても非日常的だし、美しい。実際はとても日常に密接している場所なんだけれど。そして、人がいなくて撮影に適した時間帯が多いということもあるだろう。銭湯に併設されているコインランドリーも多くて、そういうところは銭湯が営業している時間帯なら入れ替わり立ち替わり客が来るけれど、銭湯が開いてない午前中なら人もほとんどいなくて、インディーズMVの、特に撮影許可なんて取らない方式の場合、そういう場所は貴重だ。

この『ランドリー』のMV。冒頭こそコインランドリーから始まるものの、すぐにどこかの原野に場面転換する。1分35秒くらいの短い間奏で映されるのは原野を縫う道路で、それは昨年4月にレビューした『MOOD』のMVを思わせる光景だ。曲調もどことなく『MOOD』に似たものがある。あの曲で現在地がどこなのかもわからずにただただ進んでいくのみというところから、パートナーを得てひとつの旅が終わったかのような印象があって、これはひとまず良かったなと思うばかり。

しかし、歌詞の冒頭は「昨日よりはマシだと思えた〜また今日も旅に出る」というもので、ああ、旅は終わってないのだなとも。無論人生など日々の繰り返しで、旅が終わるというのは人生の終わりを意味するのかもしれない。そんな中で、少しばかりの期待をしながらも同じことを繰り返す。その様はまるでグルグルとまわるコインランドリーの乾燥機のよう。グルグルと無機質に回転し続けながらも、それは「乾燥」という「良い方向」に向かっているのだというひとつの希望を象徴しているよう。

それでも、ボーカル高橋海は曲の最終版で、『MOOD』で滑り続けていた原野の道路に立ち止まり、「Keep on moving」と歌う。「結末は言わないで」と歌う。それはこれからも回転は続くのだと。そしてどんな結末になるとも知れず、それでも進むのだと、静かながらも力強い表明のようで本当にすごい。

(2020.10.29) (レビュアー:大島栄二)


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LUCKY TAPES, review, 大島栄二

Posted by musipl