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GoodMoon『Contrast』【映像が無かったとしても、きっと同じ光景を脳裏に見る】

キレが良くてスタイリッシュ。HPのプロフィールには「確かな技術と経験に裏打ちされたテクニカルでソリッドな2本のギターアンサンブル」と書いてあって、うん、確かに技術に裏打ちされたテクニカルでソリッドだなあとそのまま頷いてしまう。テクニカルなギターといえば押尾コータローに代表され、その後押尾のフォロワーというか同じ路線のギターテクを前面に押し出すアコギソロのテクニシャンギタリストが一時アマチュアシーンにも溢れたが、そういうギタリストの特徴は、「オレ、ギターが上手いだろ」という点しか印象に残らないところで、そこから先のアートというか、感情まで含めた技術以上の表現に欠けていることがほとんど。そこが押尾コータローと押尾フォロワーの決定的な違いになっている。このGoodMoonの表現は、確かにギターは上手いんだけれど、聴いていて「ギターが上手いなあ」という想いが先に出てくることはなく、ただただそこに浮かび上がる緊張感というか、切れ目のない圧力のようなものが押し寄せてくる情景が溢れてくるのだ。たまたまこのMVでは演奏する2人とダンサーのパフォーマンスが、やはりキレのある映像となっていて、音楽をオフにしていても同様の緊張感や圧力を感じることはできるだろうが、この映像が無かったとしても、きっと同じ光景を脳裏に見ることは可能だっただろう。つまり、ギターが上手くなった2人が、「オレたちギター上手いだろう」ということだけを披露しているのではなく、そのギターによって生み出すことが可能となった、彼ら独自の「世界」を表現することに成功しているのである。

プロフィールをさらに読むと、この2人が兄弟だということが書いてある。兄弟で同じようにギターに邁進して、そして同じユニットとして一緒に活動をする。僕自身兄弟がいて、仲は悪くないとは自負するものの、こうやって同じことをして一緒に活動するというのはとても考えられない。2人が別々のことをするから、ほんわかとした仲の良さを維持できるのではないだろうか。ただでさえバンドマンは仲違いをして誰かが脱退したり、バンドそのものが解散したりするのが通例だ。表現上の主導権をどう取るのかや、活動の方針をどうするのかや、最終的に1つの結論を出さなければならないことの連続で、どちらかが自分の意見を退かなければならないことばかりだ。いい表現を生み出すということは当然高い価値があるもので、だからそれに向かって頑張っていってもらいたいし、それを期待するに足る技術と世界観がある2人なんだが、同時に、兄弟として仲良く続けてもらいたいと、ちょっとだけ余計なお世話が頭をよぎる。

(2020.11.12) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl