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さだまさし『道化師のソネット』【爽やかな明るさに満ちた初期の名曲】

昨年末の紅白歌合戦の中で、おおおと思ったのはさだまさしの歌だった。昨今若者がテレビを見なくなったと言われてて、当然のようにテレビに登場するのは懐かしのあの人の古い古い名曲というケースが増えていく。紅白は全方位的に視聴者を集めるという国民的音楽番組という使命があるので若いアーチストも登場させて、YOASOBIの初テレビパフォーマンスは予想以上の素晴らしさだったなあと思ったし、BABYMETALはもはやBABYじゃなくなってるよねとか、いろいろな感慨がありつつも、登場してくる高齢者向けの懐かしのアーチストたちについては、ちょっとどうかねという気持ちが以前からだけどけっこうあったのだ。それは、昔ほどの歌唱力が無くなってるよねということ。ユーミンとか、完全に声出てないし、それで国民的音楽番組に出てくるのってどうなのという気がしないではない。もちろん、需要があるのはわかる。プロ野球でとうの昔に現役を引退したオッサンやおじいさんで構成されたなんとかリーグの試合で、「喝」で有名な人たちが野球やってる試合のチケットが完売したりするわけで、もはやアスリートのハイレベルな技術の戦いを見たいのではなくてノスタルジーが眼前に再現されることを見たいという人がかなりの数でいることは否定しない。だから、歌唱力が多少落ちたからといって排除していたら、ノスタルジーを求める音楽ファンを排除することになるわけだし、視聴率を落とすことになるわけで、テレビの宿命として懐かしの歌手を総動員することは当然だと思う。

そんな中で登場したさだまさし。13年ぶりの紅白だったそうだ。現在68歳のさだ、前回の時は55歳。声はどうなんだろう、もはやジジイだからそんなに出るわけないよなと思いながら眺めてたら、とんでもなかった。そこそこ高音部分での張りと伸び。若い頃と同じか、それよりもすごいんじゃないかというくらいに声が出ていて驚いた。

この道化師のソネットの映像は、まだ髪の毛がふさふさしていた頃のパフォーマンスで、その風貌や歌の内容から、タモリあたりにネクラなどと揶揄されていた頃のもの。ソロになる以前にグレープとして活動し、『精霊流し』や『無縁坂』あたりで有名になったのでネクラなどと言われたのも致し方なかったのかもしれないが、そもそもそういう曲調をメインにやりたかったのではなく、それなのにそういうイメージがついたのでグレープを解散することになった。ソロでは『雨宿り』や『関白宣言』といったコミカルな曲が大ヒットとなり、彼の新たなイメージを形作ったが、個人的にはこの『道化師のソネット』が初期の作品の中では一番好き。特別にコミカルでもなく、爽やかな明るさに満ちているから。この曲が単なる新曲ではなく、自身が主演を務めた映画の主題歌として書き下ろされたということも、ヒットだけをめざす曲とは違った曲調になる理由だったのだろう。

(2021.1.9) (レビュアー:大島栄二)


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Posted by musipl