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aiko『ハニーメモリー』【もう少しテンポを落としたバージョンのこの曲も聴いてみたい】

なんだろうこのaikoの息継ぎの無さ。あるんだけどね、息継ぎ。しかしBメロの流れからサビまでのパートでこの曲特有のリズムと併せて言葉の切れる部分が無い。言葉が切れない以上息継ぎをする場所も無い。いや、あるんだけどね、プロだからね、言葉と言葉の間隙を縫うように息継ぎしてると思うけどね、カラオケで素人が歌うには難しかろうと、僕は思う。カラオケ行かないから別にいいけどね。万が一カラオケに行ったとしてもaikoを歌う可能性は限りなくゼロに近いからいいけどね。

こんなに息継ぎをしていないかのようにたたみかける曲って、だからものすごく速いように理屈としては思えるんだけれど、実際に聴いてると、そんなに速くない。『ハニーメモリー』というタイトルの通りこの曲は甘く切ない想い出について歌っているようで、aikoってそういう切ない曲が十八番なのであって、だから演歌でもないのに情感たっぷりに歌い上げるシンガーのはずなのに、このたたみかけるようなテンポの中で、聴いてる側の心がついていかない。冒頭の数小節、ピアノだけが薄く聴こえるほぼアカペラの部分は、詩がじっくりと入ってくる。それに較べてバンドサウンドになってからは少しだけテンポが上がってて、ほんのちょっとなんだけれど、そのほんのちょっとのテンポアップで、聴いていてついていけない。個人的に、なんでここでテンポ上げるんだろうと不思議でならない。そんなのaiko本人とアレンジャーと、その他諸々のスタッフで様々考えてやってることだから明確な理由もあるはずだし、冒頭のテンポで続けるとなんか締まらない、ピシッとしないとか、理由はあるんだろう。入ってこないといいつつも、それは程度問題の話で、aiko独特の声が流れる4分少々は、aikoファンならずとも、ああ、aikoだなあとホッとする。この曲をこのテンポで歌えるのはやはりaikoのすごいところなんだろう。その点はホント感心するんだけれど、もう少しテンポを落としたバージョンのこの曲も聴いてみたい気がする。

音楽業界にaikoずっといるような気がしてて、いったい何歳なんだろうとググったら45歳。いつまでも変わらないけれど、もう45歳というべきか、まだ45歳というべきか。松田聖子なんて1年ちょっとで還暦なのであって、だからaikoなんてまだまだひよっこともいえる訳で、ずっと歌い続けていくんだろうけれど、仮にaikoが60歳になった時も、いまのままの感じなんだろうか。甘く切ない女心を歌い続けているんだろうか。髪の毛のロングでサラサラな感じも今のままなんだろうか。今のままなんだろうなあ。それはそれでなかなか想像しづらいんだけれど、じゃあ別の感じになっているaikoを想像できるかというと、それはそれでまったく想像はできません。

(追記)レビュー原稿を書いて数日、脳内でこの曲が鳴り続く。なるほど、曲を聴くというのは実際にその音が鳴っているだけじゃなくて、脳内で再生することも広義の「曲を聴く」なんだと再認識する。そういえばふとした時に思いだす曲というのはあって、何度も脳内で再生したものを聴いて、ああ、実際にも聴き返したいと思って、昔なら持っている(はずの)レコードやCDを引っぱり出して、最近ならYouTubeやSpotifyなどで探して聴いたりする。実際に聴き返してみると、脳内で鳴っていたのとは微妙に違ってたりすることが多い。aikoのハニーメモリーもそうで、レビュー時に「速いな」と思っていたよりも少しだけテンポを落としたバージョンが頭で鳴っていることに気付いた。そうして、自分だけのハニーメモリーを植え付けていくのかもしれない。たくさんレビューをしていても、数日後に脳内再生が行なわれる曲というのは実は少ないし、旧い曲が脳内再生されるリストを自分で思い起してみると、そういう曲というのはもれなく名曲であることを考えると、この曲は名曲になっていく可能性があるのではないかと、数日後ながら思うようになった。

(2021.1.23) (レビュアー:大島栄二)


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Posted by musipl