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H△G『5センチ先の夢』【音楽的にも世界観的にもかなりの幅広さと奥行きを持っている】

イントロでグッとくる。バスドラのビートとコーラス(?)の「ウーウィーウーウー」というハミングのような何かのシングアウトで竹内まりやの若い頃の名曲『不思議なピーチパイ』を彷彿とさせるからだ。今では重厚なシンガーソングライターとしての地位を確立しているベテラン歌手の彼女だが、デビュー当初は彼女をカテゴライズするフィールドが日本の音楽シーン、というより歌謡界には存在してなくて、荒井由美なんかがいる場所ともちょっと違う人だと思われたのか、その方が売れると思われたのか、アイドル枠のようなところに立たされて、キラキラしたポリエステル生地製の衣装を着せられて極めてポップな曲をこれでもかというポップアレンジを施されてテレビに出て歌っていた。それでも普通のアイドルとは違うよねということくらい一般のファンにもすぐにわかるわけで、その後の活動はアイドルたちのものとは明確に違う道を歩んで現在に至る。

もちろんH△Gの人たちが『不思議なピーチパイ』をパクったとかいうことではないし、そんなことを言いたい訳でもないのだけど、そういうアイドル寄りのポップアレンジフレイバーを持ったこの曲は、彼らのことを最初にレビューした約1年弱前の『桜流星群』とはまったく違った輝きを放つポップミュージックに仕上がっている。『桜流星群』には憂いのようなものがあって、その憂いの中にある本当にささやかな願いのようなものを感じてて、それに比べこの曲ではタイトルにも示されているように、目の前に迫った明るい夢を実感した明るさに満ちていて、その輝ける未来に接した時のちょっとした気後れが表現されている。H△Gの人たちは音楽的にも世界観的にもかなりの幅広さと奥行きを持っているんじゃないかと思う。明日発売というフルアルバムにはきっとその幅広い世界が表現されているのではないかと期待に胸が膨らむ。

MVでは全編を通して街を歩いて踊ってる女性が映されてて、この人がボーカルなのかと思ってしまうけど実際には足太ぺんたというアイドルなのかモデルなのか詳しいことはよく知らないけど、Twitterのプロフィールには「名古屋で踊ってます!」と書いてあって、最近は旧いカテゴライズにはおさまらない人たちがたくさんいるよなあと思う。で、肝心のH△GのボーカルのChihoさんは後ろ姿や逆光などで表情を見ることは難しいけれど、足太ぺんたさんとは絡まずに時々歌ってるシーンが登場する。これも旧い音楽業界ならちゃんと顔を出してアピールしろよ的な圧力も加えられてこんなMVは構成案の段階で却下されたのだろうけれど、最近はボカロの人たちみたいにアニメMVのみで顔も素性も一切わからないような活動でも音楽さえよければ十分に支持されるわけで、やっぱり昔より今の方がいいよなあと思うし、さまざまな活動をしている人よみんな頑張ってねと、何の力もないけどエールを送りたい気持ちになってくる。

(2021.2.23) (レビュアー:大島栄二)


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H△G, review, 大島栄二

Posted by musipl