THERMOSTAD 『THANX VERY MUCH』 Next Plus Songパッションパッションパッション 『先生の置手紙』
ドレスコーズ
『ゴッホ』
 2011年に惜しくも解散したが、毛皮のマリーズにおける艶やかなグラム・ロックから歌謡的センス、または“ティン・パン・アレー”とアルバム名に称するなどのコンセプチュアルさと、突飛さの併存の鮮やかさはいまだに記憶に残っている人も多いかもしれない。そして、ボーカルを担当していた志磨遼平がメインとなり、結成されたこのドレスコーズは当初はマリーズのイメージがまだ付き纏いながらも、「Trash」辺りのガレージ・ロック的な刹那、性急さが求心性を持ってもいたが、今回のこの「ゴッホ」で、美しく飛躍した。誰もが知るだろう画家たるゴッホをモティーフに、このMV内では志磨自身がゴッホに扮し、ポエトリー・リーディング調の言葉群から一気に雪崩れこむ曲展開と捲し立てられる独白と妄想のようなリリックと今の時代に日本で生きることの不穏な空気感への不安定な感情を切り取っているサウンドも面白い。若者のための、また、いつかの青春パンク的というエクスキューズではなく、おそらく、どうにも靄がかった曖昧な景色のこちら側でもがいている人たちには響く何かがあるのではないか、と思う。
(レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


   
         
 


 
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