山田稔明『月あかりのナイトスイミング』 Next Plus SongPawPaw『わすれもの』
銀杏BOYZ
『ぽあだむ』
 この、ストーリーテリング的なMVの中盤からカット・アップされる沢山の女の子の投げキッスの画像に挟まれ、マッドチェスター的なサウンドに切ない歌詞が乗り、ダンサブルに煌めく。平面的にこの向こう側の被・視聴者たちとこちら側にいる視聴者は郵便的に、届かないもどかしさを抱えて、ソーシャル上にリビドーや複雑な感慨を表面張力のように溢れさせるのだろうか。銀杏BOYZは単発で曲は発表し、ライヴ活動も行なっていたが、実に9年振りとなる新作オリジナル・アルバム『光の中に立っていてね』を2014年初頭に発表し、また、メンバーは峯田和伸だけになった。GOING STEADYから銀杏BOYZをして「青春パンク」というネーミングには毀誉褒貶あったが、彼らが辿り着いた場所はノイズと雑然、カオティックな風景の中で“君と僕”という恋愛に引き裂かれ、「YOU」という対象化された大文字への後悔と懺悔の念を昇華させるような、ふとした際に誰もに訪れる“銀河鉄道の夜に”向けた渡航への片道切符を手にするような悲しくも、美しい歌に行き着いたのかもしれない。一方的に投げられる接吻の合図とは、誰をも包摂しながらも、誰にも届かない。そこの距離感は孤独同士の共振を阻むのか、というと、それも違うのだろう。
(2014.1.11) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


   
         
 


 
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