uramelö『夏の果て』 Next Plus SongRETO『私の歌』

阿部真央
『いつの日も』

 阿部真央は2009年のアルバム『ふりぃ』でデビューし、その荒っぽいサウンドとシャウトにはメジャーのやり方への彼女の激しい抵抗を感じたが、同時にキャニオンがよくこれを許したなと思うような小気味よさがあって、CDショップで数曲試聴した直後にレジに向かったことを今もよく覚えている。そのままでは単なる反抗する自我のままで終わるだろうなとも思ったのだが、セカンドの『ポっぷ』で見事な脱皮を見せた。それは妥協をするというのとはちょっと違った、大人のやり方を上手く利用することで表現の幅を広げるというような、なかなか見られない成長の跡だと僕は感じたのである。この曲はそのセカンドに収録されている1曲。ただ荒くシャウトするのではなく、感情を1音1音にぶつけることで作品を完成させる、ボーカリストが最後のピースを握っているのだと主張するようなそんなトラック。
 2009年デビューのアーチストが土曜の温故知新枠での紹介でいいのかという思いはあるものの、じゃあ平日の新人枠での紹介が相応しいのかというとそれも違っていて。年頭に届いた彼女の結婚のニュースに際し、祝意ではないけれども、ちょっと触れておきたいと思ったのである。「隣で息をして、私と共に生きてよ」。いい歌詞だ。お幸せに。
(2015.1.10) (レビュアー:大島栄二)
 


   
         
 


 
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