FFS『Johnny Delusional』 Next Plus SongSALED『深夜徘徊』

未遂ドロップス
『おわったことさ』

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 このボーカルのことを個性的とかいう言葉でくくるのは失礼であろうと思われる。刺がある。でも誰もに攻撃的な自爆装置的な何かではなくて、爪の左右にあるササクレのような、言い換えるなら逆睫毛のような、そんな刺が自分の内に向いている。その結果、ヤサグレている。そんな状態を個性的と呼ぶべきか、呼ぶべきか。いや、たぶんそれはやはり個性的と呼ぶのだろう。ササクレが内に向いて世をはかなんで、すべての外向きの活動をやめてしまうという人はとても多くて、Twitterで何の気も無く放った毒に予想外の反発が巻き起こって炎上。いや、それは炎上というほどのなにものかでもなくて、でも自分の内に刺が向いている人はそれ以上の反発を恐れて殻を閉じてしまう。そんな普通の内向きの人の中に極稀に、本当に極稀に開き直って炎上に対峙し、あろうことか自ら燃料を撒き散らしはじめる人がいる。そういう人を面白いと思うし、だから、このバンドのフロントマン(敢えてマンと言う)のぺつさんはやはり面白い人なんだろうと確信する。古い例えで恐縮だが、藤圭子の声のキレと和田アキ子のパンチ力を併せ持った優れたボーカリストでもある。「すべてはおわったことさ」と諦めような言葉を繰り返しながら、終わったことへの心残りよりも新たな何かの始まりを喜んでいるような笑みを浮かべながら絶叫する様が、とてもカッコいい。
(2015.7.2) (レビュアー:大島栄二)
 


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