未遂ドロップス『おわったことさ』 Next Plus Song宇多田ヒカル『Goodbye Happiness』

SALED
『深夜徘徊』

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 ロックである。ギターが硬く金属的な音色に仕上がっているのに太くて重く、コンピュータの中で後付けで作られたものとは一線を画した、古いスタイルの足下エフェクター的なサウンドが心を躍らせる。ポップス的なAメロBメロサビといったいかにもな展開とも違っていて、いや、展開自体はそうなんだけれども、別にサビを待たずともイントロからロック全開な、思わせぶりの無さ。その潔さがとても心地良い。そのぶん盛上がり上のメリハリは無いのだが、最初から全開なんだから徐々に盛り上げる演出なんてイラナクね?と素直に思う。アイドル全盛の時代に世の中に出てくるロックバンドといえばアイドルがバンドの皮を纏ったのかと思うような業界人制作のものが目立つ昨今、こういう潔さをもった簡潔なロックバンドが、長野県の地方都市から音を投げかけているというのが面白いし、そういう音に世界中どこからでもアクセスできるというのが、もはや当たり前でそんな感想を持つのがどうかと思うけれども、やはり面白いなと思う。それは頭の中の思考というより耳から受けた体感そのものであって、やはりロックな体験そのものなのではなかろうかと思う。ライブで大きなアンプからこぼれるような轟音の中でこそ聴きたいロックであり、そう思えるサウンドとはなかなか出会えないことを、あらためて感じさせる出会いだった。
(2015.7.3) (レビュアー:大島栄二)
 


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