Apple Light『toy world』 Next Plus Song杉瀬陽子『話をしよう』
岸田繁(くるり)×ダージリン
『橋の下』
 京都発信メディア、という訳ではなくとも、いまだにどんとの存在は大きい。彼が生前、ローザ・ルクセンブルグ、ボ・ガンボス、ときにソロとして活動を行なう軸には学生、働き人、むろん、長く生活している長き伝統と“いっとき”の通過する都市としての「京都」という象徴を通じて、または多彩なロックンロールのルーツたるミュージックから、どんな所属の人でも自在に楽しめる“ごった煮”の音楽そのものへの開放の意思があった。これは、今もくるりとしてバンドを続け、多岐に渡る活動を行なう岸田繁が自らの根幹を確かめるように、「橋の下」を歌っているもの。くるりも、今や知られる人には知られる存在であり、その叙情性や多様なポップネスにはファンの信頼性も厚いが、「竹田の子守唄」や「鹿児島おはら節」も、また、「石巻復興節」も奏でることができるという側面がある。ぼんやりとした、一定の“あるイメージ”はときに誰をも盲目にさせてしまうが、広義でも狭義でも、音楽とはもっと、なんにもない橋の下で具材を決めず、闇鍋のように煮込まれて出来上がったものがたまたま、美味しかった、そういうところも欠かせないのだと切に思う。
(2014.1.4) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


   
         
 


 
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