太田裕哥『It shines upon us』 Next Plus SongMinxZone『紙ピアノ』
Tinariwen
『Imidiwan Ahi Sigdim』
 “砂漠のブルーズ”の代表格にして世界中のフェス、イベントや日本でもフジ・ロックなどで、パフォーマンスも多くの人に認められてきているマリ共和国のグループのTINARIWENは作品ごとに果敢なトライアルをしてきたが、新作は治安の定まらないマリでの録音を断念し、北米の西海岸で行なわれているものの、ベースに変化はなく、深化の一途をたどるばかりである。サウンドはよりダウン・トゥ・アースに、よりブルージーに重厚になり、彼らの魅力のひとつであるデモーニッシュなグルーヴも健在である。このMVではミラーを通して、砂漠や木々、馬などが移ろい、残像のような演奏シーンも融け込み、トリップ感が出ている。実際に、ライヴではジャム・セッションの連続で、いつ終わるとも分からないようなさまがあり、グレイトフル・デッドやPHISHの経由に沿い、曲単位で区切られる音楽の非・自由性を越境してゆく。「曲」という矩(のり)はインスタントな受け手側のカタルシスを待備せしめるが、そういった枠から離れ、じっくりと非定型の音楽そのものに酔うこともひとつの醍醐味ではないだろうか。
(2014.3.1) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


   
         
 


 
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