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LINDBERG
『GAMBAらなくちゃね』

 LINDBERGが活躍していた1990年代前半、その立ち位置はとてもユニークなものだった。当時音楽番組がひと通り成熟してきて、ベストテンやヒットスタジオのような歌謡系の番組には出ないというバンドが多く、それがさもカッコいいことというトレンドはあった。それでもテレビの影響は大きく、若者もバンドのことを観たいと思ったし、音楽産業の側も出来ることなら露出はしたかった。そこで主に深夜を中心にロック系のバンドばかりが出るようカテゴライズした番組が次々と生まれ、ロックカテゴリーの人たちはそちらに出るというのが一般的になっていく。しかしリンドバーグだけはそういうこだわりをほとんど見せず、早朝の演歌歌手が出るようなカラオケ盛り上げ系の番組にまで本人自ら出演して普通にトークをしてたりしていた。それが結構衝撃的で、「ええっ、こんなのにまで出るの??」とのけぞったことを覚えている。ボーカルの渡瀬マキはLINDBERG結成以前はアイドル歌手としてデビューしていて、アイドル黄金期に競争も激しくなかなか売れなかった。1度だけ地方のイベントで誰も立ち止まらずに過ぎ去る路上ステージで歌っているのを見かけたことがある。そういうことを経験しているから、ロックミュージシャン的な見栄などどうでも良かったのかもしれない。結果としてLINDBERGは売れ、時代を代表するバンドのひとつになった。形振り構わず頑張って結果を叩き出す姿を、僕はカッコいいなあと思った。見栄より結果というのは、ロックの素敵なひとつの在り方だと思った。
(2015.3.14) (レビュアー:大島栄二)
 


   
         
 


 
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