Chu's day.『Rocking shoes』 Next Plus SongLINDBERG『GAMBAらなくちゃね』

ピロカルピン
『箱庭の世界』

 結成10周年というのはデビュー10周年とは意味が違っていて、本当にライブハウスでガラガラの中でしぶとく演奏を続けている頃からの時間の経過のことを指しているのだろう。僕もほぼ10年近く前に彼らのライブを数回観たことがある。一緒に仕事をしていたミュージシャンの友人だという彼らのライブはお世辞にも上手いといえるようなものではなかった。しかし、続けてみるものだ。後にメジャーデビューも果たし、今はもう契約も切れているのだろうか。しかしそんなことでへこたれることも無く自主レーベルを立ち上げてこのPVのクオリティはいったい何なんだろうか。いや、ビデオのクオリティの話ではないね、気負いも無く淡々と必要最小限のサウンドだけを鳴らしながらもキレッキレのテンポ感。ボーカル松木さんの歌声も素晴らしい。10年ほど前に生で聴いた彼女の声と何が違っているんだろうか。多分何も違わない。ただ、歴史と実績と、その上に下に存在している信念が太く重くなっているだけのことだろう。バンドに歴史有り。もちろんソロミュージシャンにも同じことが言えるわけだが、結局はその信念の強さだけが長く続ける、そして説得力をサウンドに持たせられる唯一の調味料なのだ。彼らの友人だったそのミュージシャンはその後活動を止め、ネット上に約3年前のライブ動画が残されているのみだ。続けられないのには続けられない理由があるし、続けていくのにもまた、続けていく理由があるということなのだろう。ピロカルピンカッコいいぞ。
(2015.3.13) (レビュアー:大島栄二)
 


   
         
 


 
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