Official髭男dism『恋の前ならえ』 Next Plus SongDeath Cab for Cutie『No Room In Frame』

まん腹
『どうせもう』

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 人を好きになるというのは観察するということである。観察して、他の誰かとは違う何かを発見してはその唯一の特徴形状が愛おしくなる。その結果、好きになっていく。だから、好きの反対語は嫌いではなく、無関心だ。観察して好きになって、普通だったら嫌いになるだろう特徴も何故だか気に入ってしまう。恋は盲目という所以だ。歌の中の主人公はそうして観察している「君」がみんなの人気者であることが自慢だという。延々と述べられる「君」の特徴がことごとくダメな感じで、それがきっとことごとく好きなんだろうな。言葉で伝えられる特徴というのはそのもののごく一部の側面でしかなく、リアルに眼で見て耳で聴こえる「君」の何かは観察者にしか見えない魅力を放っているのだろう。他の人から人気である理由とは違う「君」の何かを自分は知っている。自分だけが知っている。そういうのが、リアルなラブソングだと思うし感動する。歌唱力がずば抜けた歌手が熱唱したのでは、この曲は台無しになるだろう。そんな曲だし、そんなバンドだと思う。軽やかに自分のペースで。そういう活動が広がりを持つほどにゆったりとした時代ではないのかもしれないけれど、だからこそ、こういう音楽とバンドを愛でたい、ひっそりと。
(2015.5.12) (レビュアー:大島栄二)
 


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