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ポジティブ米
『ストリートミュージック』

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 ストリートミュージシャンは基本的に嫌いである。多くの場合逃げだから。いやいや、寒い中暑い中警官に脅されながら歌うのは結構大変ですよ何言ってるんですかあなたはという声が聞こえてきそうだ。そんなことは十分に判っている。おそらく誰よりも解っているひとの1人だという自信がある。だからこそ、逃げてストリートに行き着いたミュージシャンのことが嫌いなのだ。ライブハウスはチケットがあるからストリートで歌っている。みんなにもっとタダで聴いてもらいたいからストリートにやってきた。生声では聴こえにくいだろうからアンプを持ってきて歌っているよ。バンドなのでバンドサウンドを聴かせたいから楽器も持ってきてアンプにつないだ。うんうん、それ全部逃げだから。と、思う。この歌はストリートミュージシャンへの口撃から始まる。確かにストリートで歌っていたら僅かな拍手とその何倍もの罵声と苦情に見舞われる。逃げのストリートミュージシャンはそういう口撃にへこたれてまた逃げていく。それは、ストリートで歌うことの意義が本当に解っていないからなのだ。それは家にいた方が楽だもの。冬の路上でギターの弦を押さえていたら感覚無くなるもの。それでも歌う。へこたれずに歌う。文句を言われてもとりあえず頭を下げてやり過ごしてまた歌いだす。そういう人だけが、ストリートで歌う資格があるのだろう。お金だって投げてもらうべきだ。だからボーナスが出た頃の繁華街は外せない。ごく稀に万札を入れてくれる酔っ払いもいる。売れないミュージシャンなのだからそういう収入も大事。ただ歌うだけでなく、出来ることならビラも配ろう。受け取った人がその場で捨てたらちゃんと拾おう。ゴミを散乱させるようではストリートで歌う資格無し。Twitterやfacebookでつながりを持とう、出来るなら。そうやって自分の存在を伝え、歌を伝え、いつの日にかストリートじゃないところで有料のお客さんに囲まれて歌えるような人になってください。このポジティブ米のTwitterでの自己紹介には「月の半分以上はライブして車中泊しています」と書いてある。現代のロードムービーを見るかのようである。そんな本気のストリートミュージシャンが、僕は大好きだ。
(2015.5.15) (レビュアー:大島栄二)
 


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