PERSONZ『DEAR FRIENDS』 Next Plus Song降谷建志『Stairway』

稲垣淳一
『中年男のつぶやき〜会社編〜』

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 週の初めから、月の初めから、こんな曲を聴くとみんな仕事に行きたくなくなってしまうのではないかという心配はあるのだけれど、そんなダークで憂鬱なテーマをポップでファンクで飄々と表現し、かといって過度に現実逃避で無理矢理な明るさなどに行くのではなく、リアルな感情の吐露として聴かせてくれるのは、稲垣淳一の非凡で奇才であることの証だろう。実際にサラリーマン生活ン十年という40代男が一通りの子育ても終え、こういうファンクでポップな曲を引っさげてデビューするというのが、日本の音楽シーンの成熟ぶりを示しているのではないかと思う。デビューシングルに収録された3曲はいずれもまったく違ったテイストを持っていて、その幅の広さは若いアーチストなら「ターゲットを絞れよ」とプロデューサーに怒られるところだろうが、この奇才の場合は、一体どのくらいの引き出しがあるのだろうかと却って興味深くなってしまう。もうみんな会社に行って我慢なんてするのやめて、自分の好きなことをとことんやってみればいいのにと、無責任なことを考えてしまうスチャラカさが好きだ。本当に出社拒否までしなくとも、通勤時のスマホでこんな曲を聴いてみるだけで、適当な気分で1週間を乗り切れるのではないかとも思えてくる。
(2015.6.1) (レビュアー:大島栄二)
 


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