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図書館
『最終電車』

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 僕はときおり息子と図書館に行くのです。もちろん自分が読む本も借りるのですけど、主な目的は息子に読んであげる絵本を借りに行くのです。絵本が好きな息子に全部買ってあげているとお金もかかるし、第一そんなにたくさんの絵本を置いておくスペースに困ります。だから月に10冊とか20冊借りて読んであげ、特にお気に入りのものは買っていつでも読めるように。その他にもおばあちゃんが定期的に送ってくれる絵本もあることだし。そんな息子が好きな絵本はなんといっても電車の絵本。同じ本を何度も読めとせがみます。お父さんはいい加減飽きてきて、もっと他の本を読もうと提案するのですが、ききません。きいてくれません。このあいだ読んだ絵本は、駅のホームで待っているとむこうから電車がやってきて、乗り込んで、走って、すれ違って、終点の駅に到着する、その間に鳴る音を「ガタンゴトトン、ガタンゴトトン」と書いてあるだけ。だから僕はその擬音をひたすら読むだけ。何度も繰り返します。飽きないのかなあ、飽きればいいのになあと思いながら何度も読みます、電車になりきって。男の子ってどうして電車が好きなんでしょう。よくわかりません。そんな小さな男の子が乗ることはあまりない最終電車の歌。最終電車には、乗り遅れないで良かったという安堵感と、夜中だなあというもの哀しさが混在していると思います。乗り遅れまいと息を切らした人たちが座れずに立ち尽くす温度には、なんともいえない溜息が出たりします。この曲は僕がまだ最終電車に乗ったりしていた頃のそんな懐かしい何かを思い出させてくれました。最終電車の暗闇の中で鉄橋に思いを至らせることはあるのでしょうか。そんな疑問はもうどうでもいいのです。図書館というユニットは音楽の世界ではベテランといわれる人たちによるもので、さすがに安定した表現はそれだけで心地良かったりしますが、そんなことももうどうでもいいような気持ちになったりしたのです。
(2015.8.7) (レビュアー:大島栄二)
 


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