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鈴木実貴子ズ
『都心環状線』

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 きっとどうしようもない人なんだろうなあと思う。そもそも、自分の名前に「ズ」をつけたバンド名ってどんななんだよと、その「ズ」の人はどういう気分なんだよと、ずっと思っていた。musiplのレビューをする以前からいろいろなところで名前を見てて、よく考えれば理由なんて無いのにエキセントリックなアーチストだという印象を勝手に持っていた。その、鈴木実貴子ズのこの秋に公開されたこの動画を見て、泣けてきた。冒頭から小さな心がさらけ出されている。妬みや弱さが敵でもない何かを勝手に敵にして、自分の生き方を狭いところに追いやっていく、そんな様が描かれている。ああ、これは、僕だ。そう思った。いや、きっとみんなそうだろう。人間が神様でない以上、つまらないことにこだわって自分の首を絞めるのは誰にも共通する弱い何かで。みんな弱いんだと勝手に思い込みたいそれ自身もまた自分のダメなところだけれども。この歌はそんな弱い人間の心の中をさらけ出している。言わずに微笑んでいれば誰からも良い人ねと言われるだろうに、それをさらけ出している。そういうのは、強いなあと思う。音楽の一つの効用は人間のダメなところを白日の元に晒すということで、それが出来るのは本当に弱い人ではないんだろう。この人の、どうしようもないところをオープンにするところが、どうしようもなくないところで、だから、聴く人を泣かせる力を持っているんだろうし、「ズ」の人もこの人と一緒に組んで活動出来るのだろうと思う。鈴木さん、勝手にいろいろ思っててごめんなさい。
(2015.11.24) (レビュアー:大島栄二)
 


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