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イトカムトビコ
『星流し』

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 寓話のような歌。言っている中身は実のところ結構シビアでシニカルな話なのだけれども、歌い手のソフトな声質と、ほのぼのとしたリズムによってなんとなく笑顔で聴き通すことができる。「星流し」というタイトルもそれだけを見れば白線流しみたいなノスタルジックでセンチメンタルな言葉のように思えるけれども、実際は昔の刑罰「島流し」をもじった言葉。何かの罪を犯した主人公が島流しならぬ星流しの刑を受けて地球に送られるというもの。まあそこ(地球)での展開がラブだったりということでソフトなイメージがあるが、ここで、昔の島流し/流罪について考えてみたくなる。都が京都にあった時代の流罪というのは、せいぜい四国に送られるという類いのもので、「何故四国に送られることが刑罰なんだ?」と思わずにいられない。同様に、地球に送られることを星流しの刑罰っていわれても、そこに住む僕としては「何故?」というハテナマークが何個も浮かぶ。そういうハテナマークよりもこの歌の設定のユニークさの方が興味深くて、スーッと聴けてしまう。この世界の不条理さを声高に叫んで嘆くよりも、その不条理さや不完全さの中に在る幸せにフォーカスした方が楽しいということを、この曲は教えてくれる。曲の最後に訪れる地球の側の不幸せな出来事も、見方によってはそんなに不幸せなことではないという視点があって、示唆に富んでいる。
(2017.4.20) (レビュアー:大島栄二)
 


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