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クアイフ
『さよならライアー』

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 クアイフがどんどん変わっていく。そりゃそうだ、誰だって変わっていく。変わることは悪いことではない。その変化の中でどれだけの確固としたものを手放さずにいるのかを知るためには、むしろ変わっていかなければならない。自分を知るということが、変わるということの本質であって、表面的に変わらないということこそ、過去の澱のようなものに浸って安住する、つまり逃げのようなものだ。
 この曲はとてもわかりやすい。難しい顔して、それはメッセージなのか、誰に向けたメッセージなのか、単なる説教か愚痴なんじゃないのかと誤解されそうなメッセージソングを歌っていた頃からすればとてもわかりやすい。この動画の説明欄には「絶対的、鍵盤系ドラマチックポップバンド」と書いてあって、そうだったっけと首を傾げる。その絶対的って一体なんだよと突っ込みたくなる。ただし、これはひとつのセオリーだ。ジャンルを示す言葉がわかりにくくて、曲はわかりやすいというのは売れていく人たちのひとつのセオリーで、だからクアイフとそのスタッフたちは今全力で売れる道を模索して駆け抜けていこうとしているのだということがわかる。それが良いことなのかそうではないのか。いろいろと意見はあるだろうし、ほとんどの場合それを僕は否定するのだが、ことクアイフについては全面的に肯定したい。彼らがこの音楽を今やっているということ、その前提で飛び越えた深い谷のようなものが見えるだけに、安易にこれに飛びついたのではなく、強い決意で飛び込んでいるのだと思えるのだ。タイトルが『さよならライアー』。前回2年前にレビューした時にも「どこにも存在はしない、何度も何度も始めるWonderful Life」という歌詞に僕は象徴的な気持ちを感じたのだが、今回の「さよならライアー」という言葉にも深い意味を感じずにはいられない。人は自分で自分のことをちゃんと把握しているということは少なく、だから悩むし、迷う。第三者から見れば明白なことさえ自分ではまったく理解していないということは多い。というかそんなことばかりだ。その結果嘘をつく。悪意で嘘をつくのではなく、知らないが故に本当のことを言うことができないだけで、後からその嘘が嘘だったことに気付き、後悔して落ち込む。だが、客観的に見て嘘だったとしても、その瞬間瞬間で人は嘘などついてはいないのだ。このわかりやすいラブソングに、クアイフの葛藤が感じられる。二重の意味が込められている。本人が意図しているかしていないかとは関係なく、付き合う男女の心の揺れ動きはそのまま彼らのバンド活動の、人生そのものの揺れ動きなのだ。彼らは当分この路線を突き進むだろう。その路線が嘘であろうと真実であろうと、突き進むしか無い以上突き進み続けるだろう。その後ろを振り向かずに進む姿こそドラマチックなのであり、それに比べれば表面的に描かれた恋人たちの情景などもうどうだっていいくらいにどうでもいいことでしかない。
(2018.6.16) (レビュアー:大島栄二)
 


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