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シュクルシュクレ
『予感』

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 声がスーッと伸びるっていうのはどういう音になるのだろうかとふと考えてみた。鼻にかかる声というのがあって、それは鼻にかかっているのだからスーッと伸びるというのとは違うだろうと頭では思うのだが、では鼻にかかっている声は伸びていないのかというと、それもまた違っているように、実際の歌声を耳にすると納得するようになるのだ。シュクルシュクレという2人組のボーカルユニットの歌は軽やかな鍵盤のイントロから始まって、それぞれがソロで歌い、コーラスで絡み合い、メインボーカルが交錯するように展開していく。爽やかだ。で、この2人の声がそれぞれ鼻にかかる歌声なのだ。鼻にかかるタイプも両者で違っているようで、鼻にかかる声を考えるサンプルとしてもとても貴重。サビの部分で2つの鼻にかかる違う種類の声が同時に鳴っていて、ああ、これは2本のギターがユニゾンで同時に弾く時のツインギターの心地良さだなあと感じる。そういえばツインギターの心地良さも大抵はエフェクターで歪まされていて、歪みが心地良さになるというのは音楽では当たり前のことで、だから鼻にかかるということを否定的に捉えるのは根本的に何か違うことだったのだろう。鼻にかかる声というのは、鼻にかかりつつも肺活量のすべてを使って発声する時に抜けていく瞬間がとても心地良いし、抜けていた声が息の限界とともにまた鼻にかかり始める瞬間の独特の響きが別の種類の心地良さを生む。声は、スーッと伸びなくても良いんだなということをあらためて発見させてくれるような、実に爽やかなMVだった。公開1ヶ月で1000再生されていなくて、もっと聴かれてもいいのになと思う。みんな聴こう!
(2018.8.2) (レビュアー:大島栄二)
 


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