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Queeness
『Bohemian Rhapsody』

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 断っておこう、これはQueenではない。Queenessだ。断らなくても判るか。昨今のQueenの盛上がりがスゴくて、完全に乗り遅れた僕としてはひとこと言っておきたいのだ。乗り遅れたのではない、乗りたくないのだ。いろんな人が「ボヘミアンラプソディ観てきた。泣いた」とか「もう3回観た」とか「応援上映行く」とかSNSで盛上がってて、「昨日までクイーンのクの字も口にしてたか? というより音楽の話をちょっとでもしてたか?」と説教したくなる(なんでや)。これを盛上がった時だけファン症候群と銘名したい。優勝からずいぶん遠ざかっているプロ野球球団の試合では閑古鳥が鳴いているのに、突然強くなったら客が集まって満員札止め。「私はもうずっとこの球団を応援してきました」みたいな顔して応援してるけど、だったら数年前の閑古鳥の時にどこにいたんだ? そうしてにわかファンが集まるおかげでチケットが取りにくくなり、閑古鳥の時も熱心に応援していたファンが球場にいけないとかいうのはよくある話で。いやだから応援するなという話ではなくて、突然ファンになった人は生涯ずっとQueenの曲を毎日聴きなさい。まあそこまでじゃなくても、Queenが世界的にそんなに売れなかった頃に日本で応援してくれたことに感謝したみたいなエピソードが急に知られるようになったんだから、まだ売れてないけどカッコいいよねみたいなアーチストを洋楽邦楽問わず探して、Queenの音楽は月に1回程度でいいので、その他の29日は「そんなに盛上がってないけれども自分はこの音楽好きだよ」という音楽を聴くようにしてください。お願いですから。
 Queeness、カッコいいな。このどうみてもカッコよくないだろうというルックスのボーカル、フレディ・エトウが肥満した肉体をさらけ出してパフォーマンスをやっている。彼のカッコよさは彼自身がそれをやりたいのだというエネルギーと意欲に満ちているので解説不要だと思うのだが、ブライアン・メイ役(?)のブライアン・ちゃ〜り〜ヨシカワはこのギターテクニックをこのために磨いてきたのだろうか。紆余曲折を経てこのステージにメンバーとして立っている彼のプレイに哀愁を感じるし、運命に導かれてこれをやっているという人生そのものがカッコいい。カッコいいじゃないか。QueenessのHPに記載されている他のメンバーも実に郷愁を帯びていてカッコいい。まあ皆さんがどう思うかは別として、「オレはQueenのファンだ!」と公言していいのは、彼らとそのステージを観に会場に足を運びスタンディングでノっているような人たちなんじゃないかと思うのだ。
 Queenがにわかに脚光を浴びている今、Queenessのブライアン・メイ、ブライアン・ちゃ〜り〜ヨシカワは年内をもってQueenessを卒業するという。いろいろあるのだろう。うん、いろいろあるに決まっている。深くは追求しないしできないが、そういういろいろを煎じて、にわかQueenファンは飲むべきだ。もちろん僕はQueenファンではないし例の映画も見に行ってないし見に行くつもりもないので、そんないろいろを煎じて飲むのはまっぴらゴメンです。
(2018.12.22) (レビュアー:大島栄二)
 


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