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異化のうえでの気まぐれな素振り)

 ジョン・バローの『万物理論』を読み返しながら、今作に深く浸っていると、フィットするところが要所にある。もはや光度については語り尽くされているほどなのだが、イニシャル・コンディションからの解明に至る経緯までの模索が隔靴掻痒ながらも分かるというのに近いのだろうか。正確は精確ではなく、遠のくほどに光は目の前を横切る境界線のうえでステップを踏み直すような相互的作用。または異化のうえでの気まぐれな素振り。

 醒めたままで見る夢も夢で、かなえたく見る夢も夢で、では、かなわない夢は“夢じゃない”のかというとそうでもないのかもしれない。現実はビターな方が多く、多い中で砂金みたく煌めく瞬間がふとある。それを額縁で飾っておけばいいとは今は決して思わない。その砂金も強風で攫われてしまうハプニングがあるからだ。では、せめて、その砂金を得たときのことを誰かに伝承しておけばいいのかもしれない。そこから“whimsy”ははじまってゆくのでは、とも。気まぐれに堅実に、歴史はつながり、未来側への分厚く見えるサウンド・ストームのなかに彼の音も眩く、挑んでゆく気がする。と、80s~アーリー90s風味、SFアニメーションに登場するロボットのコックピット内に流れるヒットソングをイメージした、当時のMTVで流れていたようなサウンド感とEDM的な過剰展開、叩きつけるロックアプローチと資料内にあるのを最後に便宜的に付記しながら、表記がDÉ DÉ MOUSEとなるのも含めて、これまで彼を知らなかった、そして、知っていたけど、すこし離れていた方まで飛び込めそうな磁力が興味深い。


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