歌詞の意味は聴く人が勝手に想像すればいい

m:中古U.F.O.の曲の歌詞に注目したいのですが、ひとつひとつは何気ない言葉しか使ってないんだけれど、組み合わさるとスゴいことを考えているんだなという印象があります。そういうのは坂井くんが昔から言葉にはこだわりがあるということなのかな?

坂井:そうっすね……。本はすごく読みます。

m:どういうものを読むんですか。

坂井:小説が多いです。好きなのは伊坂幸太郎。ストーリーが面白いというのではなく、まさに自分が使いたいと思っているような言葉を使っていて、シンパシーを感じるんです。

m:特に好きな作品を挙げるとすれば?

坂井:1番面白いのは1作目の『オーデュボンの祈り』です。

m:中古U.F.O.の歌詞は、現実から一歩退いて眺めているような感じがするんですが、それは意識して作ってるんですか。それとも無意識のうちに?

坂井:無意識ですね。今回のアルバムはほぼ一時期に作ったんですが、その時は幽霊とか輪廻転生みたいなものを読んでいて、そういうのが出たんだという気もします。

m:『トバリ』の歌詞にはそういう感じありますものね。

坂井:そうっすそうっす。

m:右手があった頃なんて歌詞は、想像すると一体何があったんだろうという気がしますが。

坂井:僕の中ではあるんですが、でもそれは自分で説明するものじゃなくて聴く人が勝手に想像すれば良いと思います。


      “今はもうないけど  僕に右手があった頃
     君とつないだ手のぬくもりは  なぜかここに残っていて
     僕の右側に浮かんでいる

     今はもうないけど  僕の心があったとこ
     君がこすったマッチのせいかな  こげくさいヤケドの痕
     僕の真ん中に浮かんでいる”
                         中古U.F.O.『トバリ』



一時期はメロディが無いようなものしか聴いてなかった

m:いろいろな音楽も聴いてきたと思うんです。そういう中でどういう音楽に影響を受けたんでしょうか?

坂井:ベースを買ってパンクロックなんかを弾いてても面白くなかったんですけれど、ヒップホップやファンクミュージックは家で1人で弾いても楽しかった。一時期はメロディが無いようなものしか聴いてなかったですね。そこからジェイムスブラウンとか聴いて、60年代の。今はビートルズやドアーズあたりが一番好きですけれど。

   
 

ジェイムズ・ブラウン『SEX MACHINE』

 


m:たまたま今回のアルバムを僕の奥さんに聴いてもらったら、「これは何の音楽、ジャンルは何?ヒップホップ?」ということを言われて。確かにそういうフレーズの曲もいくつかあるし、じゃあジャンルはなんなんだろう、単純にロックといってはマズいのかなあと思ったりして。そういうのはどうなんでしょうか?

坂井:うーん、やる時はヒップホップと思ってはやってないです。たまたまそういうのが出てくるだけで。やっぱりドラムとベースなんで。ヒップホップも基本はドラムとベースで成り立つみたいな感じで。それに抑揚としてメロディが加わったら面白いかなというのでラップ調のがあったりはしますけど。

m:加藤さんの自分のルーツになる音楽というのは?

加藤:自分は90年代の音楽とかが多いですね。日本だとDownyとかが好きですね。それだとちょっと2000年代かぶりますけど。自分が青春時代のリアルで流行っているものが多いですね。

   
 

downy『Metaphysic』

 
 


まったく知らないリズムをやっていて衝撃を受けた

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