ヒラセドユウキ『behind the scenes』 Next Plus Songダイアラック『ためいき』

huenica
『街の案内人』

 アコースティックなサウンドに乗ったこの歌はどこかもの悲しい。それ以上に流される映像は悲しい。2009年に三軒茶屋から福島県富岡町に移転し、今はいわき市への避難を余儀なくされているNomadic RecordsからリリースされたhuenicaのフルアルバムからのPVは、その福島県双葉郡富岡町の写真がスライドで表示されていく構成になっている。人がいない街。柵が設けられた道路。あの日のままで更新されない新聞掛け。この曲の歌詞もこの風景とリンクするような淡々とした、それでいて哀しげな情景描写。この街に残った生き物たちは悲しみを食べながら生きていると歌う。ここを人が去ったことについて様々な意見があるだろう。いつの日かそこに還るべきというものから、永遠に近寄るべきではないというものまで。その是非は個々に委ねるとしても、やはり映像が見せる現実というものは恐ろしさを増幅させる。その恐ろしさに目を背けるのではなく、凝視しながら1人1人が考えなければならないことは確かだ。
(2014.10.4) (レビュアー:大島栄二)
 


   
         
 


 
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