Nakakoh『光さえも知らない場所』 Next Plus SongMadeon『You're On』

ほわいとねおん
『あめはあがる』

 こういう声は時々、本当に時々聴こえてくる福音のようなものだと思っている。男女問わず高音域を伸ばせるだけ伸ばすように歌うことが心地良いとされていて、その限界まで行くとファルセットで切り替えてさらに上を歌おうとする。それキーを下げればもっと楽に歌えるんじゃないのと思うけれども、その限界ギリギリにチャレンジしているのが良いんだと、多くのシンガーは持てる高音の限界を披露してくれる。確かにそれは聴いていて心地良いのだが、もうありふれていてちょっと食傷気味の感さえある。一方このホワイトネオンのボーカルの歌はというと、そういったハイトーン競争とは真逆で、ローをどれだけ可憐に歌えるのかにチャレンジしているかのよう。だが普通の声の場合は低音の限界を歌おうとすると芸人がゲロを吐く真似をするような声になってしまう。上手くいってもモンゴルのホーミーのような感じになるだけだ。だから、このローの限界を歌う際にささやきのようになって、コケティッシュにさえ聴こえてくるこの歌はとても貴重な、福音のような何かに思えて仕方がない。こういう価値を生み出すためにも、多くのハイトーン競争シンガーたちもキーを上げて高音を歌いやすくして、逆に低音域を歌いにくくしてローの限界にチャレンジしてみてはどうだろうか。まあほとんどのシンガーが結局ゲロのような歌声を露呈することになってしまうだろうし、だからそんなムーブメントなど永遠に起きないのも理解してはいるのだけれども。
(2015.4.21) (レビュアー:大島栄二)
 


   
         
 


 
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