2016年のmusipl.comでの4月アクセス数上位10レビューはこちら!

 
1位 Desperation
『LOVE JET』
 今ほど誰でも音楽を発信することが容易な時代はかつて無かった。作ることも、届けることも。CDを作ることも全国に販売することだって個人ベースでできてしまう。だが、続けることは相変わらず難しいことだ。根性と情熱さえあれば続けることは誰にでもできる。だが、その根性と情熱が一番難しいのだろう。リスナーの側はというと、かつては作品を引っさげてステージに上がってきた段階でかなりの根性と… (レビュアー:大島栄二)
 

 
2位 岡崎体育
『MUSIC VIDEO』
 ミュージックビデオのあるあるをそのまま曲にしてビデオにしたと話題の曲。見てみるとたしかにあるあるだ。ミュージックビデオを作ったりすることもある立場としては、じゃあ他にどんな手法があるんだよとか思ったりするし、マイケルジャクソン並の予算があるならばともかくスタジオ借りる予算も大道具作る予算もなければ外ロケしか無いじゃないかという中で、なんとか動きを出そうとするとまあこのくらいしか… (レビュアー:大島栄二)
 

 
3位 中村一義
『スカイライン』
 四月、別れ、旅立ちの季節。2012年に於けるデビュー15周年を記念する日本武道館でのライヴは現場にいても感極まるところがあったとともに、ひとつの彼の区切りも感じた。ベースボール・ベアー、サニーデイ・サービス、くるりの参加も含め。そして、『金字塔』、100s、そして、再び一人に戻っての『対音楽』と壮絶にして純然たる長い航路の果てに歓喜が舞い上がり、音楽の資質は再び、聴き手それぞれ… (レビュアー:松浦 達
 

 
4位 SANABAGUN
『人間』
 TV放送のアニメ制作者の「ベッドシーンはNGなので、代わりに男女の食事シーンを意図的に入れてる」との話に、メジャーの難しさは規制の枠、それを感じさせない表現かと。深夜フリートークで「こんな雨の日は一日中部屋で彼とヤりまくりたい」と気さくに話す歌姫も、メジャーではカブトムシやテトラポットに置き替えて「こんな夜にお前に乗れないなんて!」的に暗号化する訳で。サナバガンの1stメジャーアルバムの… (レビュアー:北沢東京)
 

 
5位 ソフライト
『昨日の夢』
 テープレコーダーを逆回しに再生すると、ひらがなを逆さまに読むようには聞こえない。アルファベットで書いたものを逆さまに読むような音で聞こえる。「あさやけ」は「asayake」であり、「ekayasa」、つまり「えかやさ」と聞こえる。その理屈を利用して歌詞をアルファベットで起こしてその通りに歌って逆再生をするという面倒な表現も以前はよく見かけたが、その時にどうしても起こる不自然さがなぜか心地良かったりした… (レビュアー:大島栄二)
 

 
6位 藤原さくら
『Goodbye』
 何かを諦めたかのようなテンションの声。でもそれはけっして絶望なんかではなく、淡々と過ぎる日々の早さを冷静に眺めながら、落胆も浮立つこともせずに伸びていく、今風の若い心を象徴しているような気がするのです。アコースティックギターをつま弾きながら軽やかに歌う様はPriscilla Ahnが登場してきた時のことを思い出させます。YouTubeにもう1曲上がってる『Ellie』という曲は英語で歌われていて… (レビュアー:大島栄二)
 

 
7位 宇多田ヒカル
『traveling』
 国民的歌手ともいえる重い悲哀と、微かな希い的な何か。このようなタイプキャスティングされた言葉を附箋の役割にしないといけないくらい、嵐の季節に彼女は颯爽と戻ってきた。「花束を君に」、そして、「真夏の通り雨」。二曲とも、散り生きて、咲き活きてまた見えてくる象徴のひとつとして、陰と陽といった明確な印象でもなく、混ざり合って、そのままに悲しく、慈しみ染み入りながら、歳を重ね、新たな家庭を築く中で… (レビュアー:松浦 達
 

 
8位 The fin.
『Veil』
 ダウンテンポのリズムとフックのあるシンセサイザーの音色、そしてYuto Uchinoさんの甘く切ない歌声が、どの風景の中にいても、たまらなく染み込んでくる。音楽を聴く人が求めることは十人十色。キャッチーなサビを好む人からすると、ふわふわで取り留めのないものに聴こえるかもしれないのですが、私は歌詞やメロディー(特にサビ)を主張して押し付けてくる音楽をあまり好まないので、The fin. は本当に… (レビュアー:本田みちよ)
 

 
9位 canalclan
『夜の女王』
 少しばかりハスキーな女性ボーカルが乗っかるのはファンクなサウンド。「ディスコリバイバルをキーワードに、80sディスコを現代風のダンスミュージックへと昇華したような音楽」とHPにはある。カッコいい。こういうテイストの音楽をファンクと言うのかディスコと言うのかは人によって、世代によって違うのかもしれないが、ただただ勢いだけで突き進もうとするロックバンドとは違って、一定の音楽的素養と… (レビュアー:大島栄二)
 

 
10位 Prince
『Kiss』
 彼にリアルタイムで出会ったのは、すでにどこか伝説化し、成功をおさめたポップ・スターとして、1999年の終わり、筆者は今の”京都”が”KYOTO"ではないように、四条寺町通のレコード・ショップで『RAVE un2 the Joy fantastic』を買い、何度も聴き、そこから遡って過去のカタログも聴き漁った。当該作にはチャック・D、グウェン・ステファニー、シェリル・クロウ、アーニー・ディフランコなどの当時の… (レビュアー:松浦 達
 

 
次点 YUTORI-SEDAI
『涙の雨』
 YUTORI-SEDAIというバンド名はやはりゆとり世代ということなのだろうか。ゆとり世代が実際にどの世代なのかということには諸説あるらしいが、現在20歳前後のこのバンドもゆとり世代の中に属するのだろうか。ゆとり世代であるかどうかがその人の性質や力量を決めるわけではないが、一定の思惑で語られることは不可避なのだろう。僕の頃なら新人類などという言葉があり、上の世代は自分とは違う世代を…  (レビュアー:大島栄二)
 

 
編集長コメント

1位 Desperation『LOVE JET』:福岡のベテランバンド、ゴミロックのデスパレイションが堂々の1位。10年以上前から地道に活動を継続してきた彼らのしぶとさが、着実なアクセスの集まりと、ランクアップにつながったのでしょう。

2位 岡崎体育『MUSIC VIDEO』:ビデオの制作手法がユニークと話題のこの動画のレビューが、話題とともに2位にランクイン。確かに面白いビデオでしたし、ビデオの構成のために楽曲の構成もかなり考え抜かれて作り込まれたという印象で、もっと曲のユニークさにも注目が集まるといいなあと思いました。その一助になれれば。

3位 中村一義『スカイライン』:レビュアーの松浦さんがずっと注目し続けているいくつかのアーチストのひとりでもある中村一義。僕自身は実はそんなに気にしていなかったアーチストなので、あらためて聴く機会を得て「あれ、こんなに明るい曲調の人だったっけ?」と驚きました。アーチストとの出会いの瞬間だったようで、面白かったです。

4位 SANABAGUN『人間』:昨年9月のレビューが約半年を経て再浮上。ずっとウォッチしてくれるファンがいるってステキだなあと思います。僕が紹介している多くのまだ無名アーチストたちも、自分の周囲を教育して、こまめにチェックだのウォッチしてもらうようにしていけば、状況は少しは変わるのになあとあらためて思いました。

9位 canalclan『夜の女王』:ホントにいい曲。以前は「偽電気ブラン」だった彼らですが、やはりその名前ではこの曲調は想像しにくいし、ファンになってくれそうなリスナーをたくさん逃がしてきたんじゃないでしょうか。改名して、いい方向に結びついていけばいいですね。

 4月のまとめ記事をつくるのが遅くなってしまいました。ホントに申し訳ありません。これからもっと精進いたします!!

(大島栄二)