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ニアフレンズ
『笑って笑って』

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 現代の青春が閉塞感を伴うものだというのは一般的によくいわれていることで、ではそれが本当なのかというと、僕はちょっと疑問を持っている。景気の悪化などから将来に対する夢を持ちにくいというのは客観的に俯瞰すればある意味正しくて、だからその閉塞感の青春説というのはスーッと受け容れてしまいがちなのだが、じゃあバブル前夜といわれた自分の若い日に閉塞感がなかったのかというとそんなこともなく、結構暗い歌も聴いたりしていた。ニアフレンズというバンドの「笑って笑って」という曲の歌詞はとにかくネガティブな言葉のオンパレードで、聴いていて「この子たちは本当にこんなにもネガティブな人生を送っているのだろうか」と心配になってくるけれども、このアップテンポな曲を聴いていると、心の底からネガティブなことを考えてはいないんじゃないかとさえ思えてくる。ネタとして歌っているんじゃないかと。昔のダークネスソングは中島みゆきも山﨑ハコも曲調そのものもダークだった。そりゃそうだろう。ライブでノリノリにネガティブなことを歌っても身体が動けばそんなに暗くもなりきれないのだから。この曲がライブハウスで演奏されれば客席も盛上がってステージ上も盛上がって、場合によっては会場全体で熱唱したりして、メンバーは「どうもありがとう!」とか笑顔でシャウトしたりするだろうし。そう考えると、かつてのダークネスソングの時代の若者には物質的にはほとんど何も無いけど希望だけがあるという状況だったのに対して、スマホやパソコンで世界中とアクセスという、物質的にはもう溢れているけど希望だけがないみたいな、そんな時代をそのまま現しているような、不思議な感覚を覚える。現代のネガティブってこういうことなのかもなあとちょっと思う。

(※2019.1.21時点で動画が削除されていることを確認しました。レビュー文面のみ残しておきます)
(2017.3.16) (レビュアー:大島栄二)
 


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