2014年のmusipl.comでの6月アクセス数上位10レビューはこちら!

 
1位 絶望ルーシー
『狂気のサタデイ』
 高校生がパンクロックをやるとこうも初期衝動がストレートに出てくるものなのだろうか。自分が高校生の頃のことを思い出してみるともっともっと狭い世界で蠢いていたような気がする。インターネットも携帯電話も無かった時代と比較してももはや意味など無いのかもしれないが、世界に開かれているようでいて教室とネットの闇に幽閉されたような気持ちは今も昔もそれほど変わらないのかもしれないし… (レビュアー:大島栄二)
 

 
2位 セプテンバーミー
『逆回転するハッピーエンド』
 何だろうこの全体前のめりツッコミ気味のリズムでコケそうになるのに結局コケることなく乗り切れてしまうテンションの持続は。最近はBPMを上げに上げてとにかく速くする競争をやっているといわれているJ-POP界だがJ-ROCKもその例に漏れずとにかく速い速い。そんな中にあってこの曲はそこまで速くないんだけれどもリズムを突っ込み気味にすることで実際のBPM以上の速さ感を実現しているようでああなんという… (レビュアー:大島栄二)
 

 
3位 白波多カミン
『くだもの』
 やわらかなクセのある歌。ギター弾き語りで訥々と歌う白波多カミンの姿には何かキレてる病みを感じます。闇というより病み。いや、完全に僕の先入観ですけどね。この曲のPVはかなりよく作られていて、まるでアイドルか女性J−POPという風情ですが、きっとこのライブ映像の方が本人の素に近いんだろうという気がします。CDをリリースしているのがノイズミュージックで有名なアルケミーレコードですから、多少の… (レビュアー:大島栄二)
 

 
4位 マンタ・レイ・バレエ
『ナイチンゲール』
 シティ・ポップ再興の裏に古き良き“歌謡性”の影がちらつくバンドの発する言葉はその音楽自体と併せて、開放的でとても今らしい拓かれ方を感じる。性急に、BPMを早めるわけでもなく、言葉遊びで濁すわけではなく、適度なリズムと真摯な音空間の遊びの中で自然と心揺れることができる、そんな心身に負荷のかからない軽やかさ、根には、ブルーズ、R&Bが脈打ち、ささやかに誰かのこと、君のこと、夢想、詩情が… (レビュアー:松浦 達)
 

 
5位 Escalera al Cielo.
『Perro』
 スパニッシュギターの調べ。「これはGypsy Kingsですか?」って声も聞こえてきそうですが、日本人2人によるユニットの演奏。東京を中心に普通にバンド活動を行なっているそうです。ギターロックの若者バンドが次々に生まれてきては似たような曲しか書けていないインディーシーンにあって、こういうユニークな存在は層の厚さを感じさせてくれて嬉しくなっちゃいます。一心不乱にギターを奏でる彼らの姿には… (レビュアー:大島栄二)
 

 
6位 ai kuwabara trio project
『LABORATORY』
 こういう人は世の中にどのくらいいるのだろうか。音楽大学を卒業したという知り合いは多いが、僕の周辺に限れば特に音楽の演奏を生業にすることなく事務仕事をしている人がほとんど。確かに音楽で食っていく、しかもピアノの演奏で食っていくというのはなかなか狭き門だし、オリジナルを作曲して演奏するというスタイルでの成功はさらに難しい。バンドがライブハウスで演奏をするというほど門戸が広いわけでもなく… (レビュアー:大島栄二)
 

 
7位 コアラモード
『Hello Hello Hello』
 この軽快なポップチューンは一体なんなんでしょうか。あんにゅさんのボーカルも可愛くてステキだし、完成度がとても高くて、動画と呼べるのかどうか微妙でしたが、紹介したいというこの衝動を押さえきれません。小川美潮や矢野顕子などのハイセンスで個性豊かなボーカリストの系譜に入れてもいいのではないでしょうか。そういう系譜に入るボーカリストは往々にして特徴だけが突出して実力が伴わないものです… (レビュアー:大島栄二)
 

 
8位 HAPPY BIRTHDAY
『こころの王様』
 小さな子供を育てていると、この子が悩みなく苦しみなく育っておくれと願います。しかし実際は悩みのない人生などあるはずもなく、じゃあこの子が悩みに苦しんだ時、親はどうすればいいのかなんてまた悩んだりしてしまいます。そんなとき、このHAPPY BIRTHDAYという2人組が「悩みのないときなんてないでしょ」と歌ってくれることが何故か安堵につながるような気がして。彼女たちのような確実にバブル以降の世代は… (レビュアー:大島栄二)
 

 
9位 Lighter190E
『パンドラ』
 ひとつの声にひとつのピラミッドが存在し、市場の勝ち組とそれ以外という構図はおそらく音楽マーケットでもあるのだと思う。REBECCAのNOKKOからJAMのYUKIに移り、JAMの解散以降それをシャカラビのUKIが勝ち組の座につくのかと思っていたのになかなかそうはならず、極めて特徴的な声質の女性ボーカル市場は以来混沌となった。誰も勝ち組の座を射止めることができずに今日まで来ているのは、JAM解散後も… (レビュアー:大島栄二)
 

 
10位 最終少女ひかさ
『商業音楽』
 本気のバンドマンにとって、「金と時間もらって俺達はここに立ってる」の言葉がすべてじゃないでしょうか。最近は音楽にお金を使わないことが普通になってきたというニュースを最近よく目にしますが、そういう中でもやはりお金を使ってライブに来てくれたりCDを買ってくれたりする人が少なからずいて、そういう人の前で趣味でやってるのはやはり不誠実だと思うのです。「趣味の音楽でも良いモノは良い」なんて… (レビュアー:大島栄二)
 

 
次点 pertorika
『五月雨の頃』
 00年代半ばからとはいわないが、とくには映画、音楽のアート分野で小刻みのカットを入れることで、現実の速度に適する閾値をとり戻そうとする動きがあり、例えば、事実、だれもが知っている『ドラえもん』劇場版映画が近年、カット・アップの巧みさとそれでいて、物語性を崩さない挿話を瓦解せしめないコンパクトさと情報量の多さは流石だと思った人はいるのではないだろうか。このpertorikaの『五月雨の頃』で… (レビュアー:松浦 達)
 

 
編集長コメント

 1位:絶望ルーシー『狂気のサタデイ』:広島の高校生パンクバンド。個人的にも押してて、Twitterなどでもアピールしたとはいえ、堂々の1位ランクイン。格好としての虚飾を排したストレートな叫びが多くの共感を呼んできているようですね。

 2位:セプテンバーミー『逆回転するハッピーエンド』:突っ込み気味のテンポを維持しながら1曲ぶっ飛ばしている楽曲でした。歌詞がとても面白いのだけれども、トータルで考えてやはり音楽的な表現が耳と脳に残る、サウンドに特徴も個性もセールスポイントも持ったバンドなのではないかと思います。

 3位:白波多カミン『くだもの』:レビューの中でも触れたのだけれど、この楽曲のMVは実によくできていて、musipl.comで取り上げたライブ映像とはかなりの違い。レビューページではあえてリンクは張りませんと言ってみたのですが、3位に入ってきてるので、ここではリンク張っておきます。よろしければどうぞ。

 7位:コアラモード『Hello Hello Hello』&10位:最終少女ひかさ『商業音楽』:この2曲は6月に紹介したのではなく、それがこうやって毎月のベストテンに入ってくるというのがとても面白いです。musipl.comのTwitterアカウントでは「過去レビュー」というのをランダムでツイートしているのですが、そういうのにこまめに反応してリツイートなどしていただくと、こうやって上位アクセスになってきているのです。musipl.comでのランキングがどうこうではないだろうし、そこに重きを置く必要なんてないんだけれども、結果的にYouTubeの動画が再生されるわけで、それはとりもなおさず音楽を聴いてもらっているということなのです。だからバンドマンが自分自身で反応してリツイートするという行為は、結局は自分の為になるということなのではないでしょうか。皆さんには頑張って欲しいし、その結果こうしてアクセスを伸ばしているバンドのことは特に応援したいなという気持ちになります。


(大島栄二)