編集長 大島インタビュー、第3弾!

『musiplのレビュアーたち』


編集長が「リスナーの鑑」と一目置く、
            北沢東京ってどんな人?

M子:登場頻度は少ないのですが、私がひそかに注目しているのが北沢東京さんのレビューです。表現が絶妙なので、マニアックな曲にも入っていきやすいんですよね。毎回、レビューに共感したり感心したりしてるうちに、いつの間にか北沢東京さんと同じ目線で曲の世界に浸っている自分がいます。

大:この人は、音楽のとらえ方がものすごくユニークなんだよね。僕もレビューが届く度に、「そう来たか!」と驚かされています。

M子:この北沢東京さんは、一体何者ですか?

大:僕は以前キラキラレコードで、大正九年(※)というアーチストを手がけていたのですが、その頃ある人を通じてネット上で知り合った人なんです。実態はよくわかりません。ネット上でやり取りをする中で、音楽はもちろんさまざまな文化について鋭い視点を持った人だなと感じていました。

 ※ 大正九年:98年にデビュー。卓越した打ち込みテクと過激な世界観でコアな音楽ファンから支持を集める女性テクノミュージシャン。

M子:音楽関係のお仕事をなさっている方ですか?

大:いや、普段はサラリーマンのはずなんですけど、それも定かではありません。

M子:彼はどういう経緯でmusiplに書くことになったんですか?

大:僕がオファーしました。musiplを始める2年ほど前から「数人の信頼できる専門家が音楽を紹介するサイト」という構想だけはあって、その頃から北沢さんのことは、その専門家の候補に(勝手に)入れていました。

M子:ずいぶん前から目をつけていたんですね。彼のどんなところが「信頼できる専門家」にふさわしいと?

大:単に音楽に詳しいのもあるけど、北沢東京さんは、リスナーとして誰よりも音楽に真摯に向き合っている人なんですよ。リスナーの中のリスナーというか。無名だけれど個性的な音を出すミュージシャンのことは逃さない。アンテナにピンと来たらすかさずライブに行き、CD-R音源までちゃんと買って応援もする。以前ある個性的なミュージシャンがキラキラレコードに挨拶に来て、「これ10年くらい前にやってたバンドなんです」とCDを置いていって。そのバンドのこと全く知らなかったので、どんなのかってググってみたら15人くらいしか参加していないmixiフォーラムで北沢東京さんが発言されてて、腰を抜かしそうになったことがあります。

M子:北沢東京さんの選曲についてはどう思いますか? 彼はどんな音楽が好きなんでしょう?

大:あくまで勝手な想像ですけど、確信犯的に音楽をやっている人が好きなんだと思います。確信犯と言うと、何だかやたら商業的なイメージの、制作サイドに作り込まれた人形のようなアーチスト像が浮かぶけど、北沢東京さんが好きなのは、狂気を伴った天才肌の人の、狂気ベースの確信犯。狂気や才能は大事だけど、それだけじゃ続いていかないから、冷静にビジネス的に自己演出する視点も持っている。そういうアーチストが理想なんじゃないかな。大正九年がきっかけで関係がスタートしただけあって、ツボの部分は僕と共通するところがある気がしているんです。

M子:これまでの北沢さんが紹介した曲で、もっとも印象的だったのは?

大:吉澤嘉代子『未成年の主張』です。PVは、スケッチブックに書いた歌詞を見せるという手法のものでしたが、この人の他の曲も同様の手法が採られています。個人的には別の曲に狂気めいたものを感じ、ファンになっちゃいました。良い音楽を教えてくれてありがとうって、純粋にリスナーの気持ちです。

M子:私は、宇宙人『ものすごい関係』が印象に残ってます。不思議少女についての北沢さんの解説が面白くて、宇宙人というアーチストへの興味が膨らみました。




 
北沢東京:フリーPDF誌『swallow park newspaper』編集ライター。電子楽器や民族楽器の関心ごと、他の大手サイトでは取り扱わないような、音楽の興味のスキマを埋めるインタビュー記事や体験レポートを発信。電子楽器を持って行くピクニックイベントなども不定期開催中。
 

西の都から全国へ、未知の音楽情報を発信。

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