編集長 大島インタビュー、第3弾!

『musiplのレビュアーたち』


各レビュアーの個性がmusiplを創っていく

M子:今回は、初期から活躍されている古株レビュアーさんについて質問してきましたが、最近、新しい方も加わられたんですよね。

大:先日から、八木さんというレビュアーさんが加わりました。彼は松浦さんの知人で、現在岩手大学農学部で技術補佐員の仕事をされています。その傍ら『ユリイカ』、『岩手日報』などにも寄稿しているライターさんでもあります。

M子:レビュアーは、今後も増員していく予定なのですか?

大:今のところ、具体的に募集する予定はありませんが、良い方がいらっしゃれば大歓迎です。

M子レビュアーを選ぶ際の基準はありますか?

大: まずはmusiplがやろうとしていること、すなわち「良質の音楽を紹介する」というコンセプトを理解してもらうことが前提です。その上で、独自の視点で良い音楽を見抜くシビアで確かな目を持っていること。ただマニアックなものを知っているというのではなく、400字程度のレビューでリスナーが「この音楽、なんか面白そう」と興味を持ってくれるような文章が書けるということもポイントです。

M子:ちなみに、musiplで紹介する曲は、必ずしも無名のアーチストでなくてもいいということでしたが、レビューする曲の選考基準はあるのですか?

大:まず形式上YouTubeに動画があることは必須です。静止画に音が載っているだけのものは基本的に紹介しないことにしています。さらには曲名とアーチスト名が明記されていることも条件。それ以外には、音楽を選ぶ際の明確な基準は決めていません。信頼できるレビュアーさんたちにお願いしているので、その方たちそれぞれが持っている基準や感覚を信じるようにしています。

M子:最後になりましたが、musiplにおけるレビュアーの役割とは何でしょう。

大:音楽のコンシェルジュと考えています。高級ホテルに行くとコンシェルジュという立場の人がいて、夕飯に行ける美味しいお店を紹介してほしい、面白い観光地を教えてほしいといった宿泊客の要望に応えてくれますよね。それの音楽版です。
 最近はたとえばamazonでも、それまでの自分の購買データを元にオススメの商品を提案してくれます。でもamazonの提案は、「この商品を買った人はこれも買っている」、「これをクリックした人はこれもクリックして買っている」というビッグデータを使った提案でしかないから、細やかさに欠けるんですよ。ピッタリのこともありますが、見当外れのことも多い。
 今はamazonの「オススメ」提案や食べログのようなビッグデータを元にしたサイトが流行っていますが、データによる提案は、個人の趣味の殻を破ることはありません。しかし人間は自分の手の届く、好みや想像の範囲内だけで生きるものではなくて、むしろまったく知らないことと出会った時の方が喜びは大きい。そういう未知の商品を提案するためには、ビッグデータではなく、コンシェルジュ的な機能でなければならないと思います。コンシェルジュとは、専門家という「人」に頼る運営。だからmusiplとまったく同じ情報サイトを作ることは不可能だし、だからこそ存在感を打ち出していけるんじゃないかという気もしています。当然、各レビュアーのクセというものも浮き出てきて、結果として、「僕はこの人のレビューが好き」、「この人の紹介なら信用できる」といったレビュアーに対するリスナー個々の好みや評価が出てくるのが理想と考えます。そういうレビュアーという柱がいくつかあって、各々が個性的な紹介をすることで、見てくれる人も自分がそれまで聴いてきた音楽とは違う種類の音楽と出会う機会を得られるのではないでしょうか。

M子:レビュアーあってのmusiplと。でも今のところ、レビュアーさんたちは無報酬なんですよね。

大:現在は皆さん、ありがたいことに、ノーギャラでレビューを書いてくれています。というのも、musiplがまだ媒体として利益を生んでいないので。僕は編集長として、このサイトのクオリティを確保していくためには、信頼できるレビュアーさんにレビューを依頼することが何より大切だと考えています。そのためには、サイトから利益を出して、レビュアーさんに十分な原稿料をお渡ししたいと思ってはいますが、まだそこまでには至っていません。今後の一番の大きな課題です。

 
大島栄二:Music Plusレビュアー兼編集長。創業24年目のインディーズレーベル「キラキラレコード」プロデューサー。
M子:Music Plus編集スタッフ。キラキラレコード制作担当(ディレクター見習い)。大島のレーベルのスタッフとして働いていたところ、musiplの編集にも動員される。
 


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